2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経筋伝達機能および筋弛緩薬の作用に敗血症病態が及ぼす影響の研究
Project/Area Number |
15591647
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
成松 英智 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70295343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 均 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70203304)
川真田 樹人 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90315523)
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Keywords | rocuronium / pancuronium / d-tubocurarine / neuromuscular blocker / sepsis / cecal ligation and puncture / quantum content |
Research Abstract |
本研究ではすでに平成15年度までに,1)後期敗血症病態が非脱分極性神経筋遮断薬の筋弛緩作用を減弱させること,2)その減弱の程度は神経筋遮断薬の種類により一様ではないこと,3)後期敗血症病態が運動神経末端からのアセチルコリン素量放出を増加させること,4)後期敗血症病態が非脱分極性神経筋遮断薬のアセチルコリン素量放出抑制作用を減弱させること,を明らかにした. 平成16年度はこれらの成績をふまえ,以下の研究を行った. 1)早期および後期敗血症ラットモデルの作製 ラットにCLP手術を行った後,8時間あるいは16時間経過した時点でそれぞれ早期あるいは後期敗血症に至っていることを確認した.実験にはこれらをそれぞれ早期および後期敗血症モデルとして使用した. 2)収縮生理学的実験 摘出横隔神経-横隔膜標本を用いて,各種非脱分極性神経筋遮断薬の筋弛緩(筋収縮力抑制)作用に対する早期および後期敗血症の影響を比較・検証した.後期敗血症群のrocuronium, pancuronium,あるいはd-tubocurarineによる筋弛緩作用のdose-response curveの右方変移(pancuroniumで最も大きく,またd-tubocurarineで最も小さい)は,それぞれ早期敗血症群のそれと比較して大きかった.これらのことから筋弛緩作用は,敗血症病態の進行に伴い減弱することが明らかとなった. 3)電気生理学的実験 摘出横隔神経-横隔膜標本を用いて,各種非脱分極性神経筋遮断薬の運動神経末端に対する作用を検証した.Cut fiber preparationを用いた終板電位の実験では,後期敗血症群では非敗血症群よりもアセチルコリン放出素量は増加しているが,終板電位の振幅自体には差がないことが示された.この結果は,敗血症病態が後膜アセチルコリン感受性を低下させていることを示唆するものである.
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Research Products
(2 results)