2004 Fiscal Year Annual Research Report
知覚神経感作のメカニズム解析と慢性疼痛治療への応用
Project/Area Number |
15591655
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
田中 義文 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (50079935)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 雅樹 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (80264753)
志馬 伸朗 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (00260795)
影山 京子 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (80347468)
|
Keywords | 炎症 / 痛覚過敏 / VR-1 / VRL-1 / NGF / GDNF / DRG / ラット |
Research Abstract |
カプサイシン受容体(VR1)およびそのホモログVRL1は一次知覚神経に存在し、痛覚伝達に必須である。すでに我々は組織の炎症がVR1の発現を増加させることを示し、その発現変化が痛覚過敏の発症に寄与することを報告している。これらの研究結果をもとに、以下に示す研究を行った。 1.組織炎症によるVRL1の発現変化 ラット後根神経節(DRG)より組織切片を作成し、VRL1に対する免疫組織化学によってその発現を同定し、陽性細胞数を顕微鏡下に測定した。CFAの足底注入により組織炎症を作成し、VRL1発現が変化するか否か検討した。VRL1の発現が炎症によって増加することが明らかとなった。 2.神経栄養因子NGFとGDNFの一次知覚神経における定量 DRGを採取、ELISA法を用いてNGFとGDNFの発現量を測定し、組織炎症後の発現変化を解析した。その結果、炎症によってNGF、GDNFともにその発現量が増加することが明らかになった。 3.抗NGF抗体および抗GDNF抗体がVR1およびVRL1発現に及ぼす影響の解析 NGFおよびGDNFの特異抗体が炎症によるVR1およびVRL1の発現増加を抑制するか否かを検討した。各特異抗体は炎症作成直前に投与した。炎症2日後にラットDRGを採取、免疫組織化学法を行った。抗NGF、GDNF抗体ともに炎症によるVR1発現増加を抑制するがVRL1の発現増加には影響しないことが明らかとなった。 4.抗NGF抗体および抗GDNF抗体が炎症性痛覚過敏に及ぼす影響の解析 行動解析の結果、抗NGF抗体および抗GDNF抗体はともに炎症性痛覚過敏を軽減させることが明らかとなった。 これらの結果から、組織炎症によりVRL1の発現増加が生じることが明らかとなり、VRL1を対象とした疼痛治療の可能性が示唆された。また、VR1は神経栄養因子依存性に発現が変化するがVRL1は異なった機序によって発現が増加することが示された。
|
Research Products
(1 results)