2004 Fiscal Year Annual Research Report
虚血/再灌流による腎血管内皮の抗原性亢進が移植免疫応答に及ぼす影響と抑制法の検討
Project/Area Number |
15591668
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 滋 秋田大学, 医学部, 助教授 (80187195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松田 敦 秋田大学, 医学部, 講師 (70272044)
佐藤 充 秋田大学, 医学部, 助教授 (60226008)
妹尾 春樹 秋田大学, 医学部, 教授 (90171355)
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Keywords | 虚血 / 再灌流障害 / 血管内皮 / 副刺激シグナル / CD80 / CD86 / ポリフェノール / レスベラトロール / NO |
Research Abstract |
虚血/再灌流によって臓器のHLA抗原や細胞接着分子が血管内皮に発現亢進することが報告されている。この虚血/再灌流による移植片自体の抗原性亢進はレシピエントの免疫系を刺激し、拒絶反応を容易に誘発し移植片の長期生着を阻害する可能性を含んでいる。私達は、血管内皮細胞の抗原提示能力について、T細胞活性に重要な副刺激シグナルに関与する細胞表面抗原(CD80、CD86)に注目してきた。その結果、腎では糸球体内皮細胞と傍尿細管血管内皮細胞、肝では肝類洞内皮で虚血/再灌流障害時にCD80とCD86の蛋白と遺伝子の発現が亢進することを認めた。 以上の研究結果を踏まえ、虚血/再灌流による血管内皮細胞の免疫応答を抑制する方法を動物実験で検討した。その方法として、酸化窒素活性抑制剤であるレスベラトロール(ポリフェノール)をラット腎虚血/再灌流障害モデルに投与し、虚血/再灌流障害後の腎機能とCD80、CD86のうち抗原性の強いCD86の発現程度を観察するものである。その結果、抗酸化剤投与ラットでは虚血/再灌流後の血清クレアチニン値の上昇が有意に抑制され、また血管内皮細胞でのCD86の発現と腎組織内のCD86mRNAの発現量も抑制された。しかし、組織内NO発現量は対象群と差がなく、レスベラトロールの効果はNO産生抑制のみでは説明がつかなかった。 これらの研究成果は平成15年から16年度にかけて得られたものである。特に16年度は、この研究成果を日本移植学会総会、米国腎臓学会で発表するとともに、英文論文を執筆し投稿。Archieves of Histology and Cytologyに掲載される運びとなった。 今後、NO産生抑制以外の機序を検討する必要がある。
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Research Products
(1 results)