2003 Fiscal Year Annual Research Report
バニロイド1受容体ノックアウトマウスを用いた下部尿路の知覚神経系に関する研究
Project/Area Number |
15591675
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
中村 靖夫 秋田大学, 医学部, 助手 (20322117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
並木 幹夫 金沢大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70155985)
河谷 正仁 秋田大学, 医学部, 教授 (00177700)
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Keywords | 膀胱 / カプサイシン / ノックアウトマウス / TRPV1 |
Research Abstract |
バニロイド1受容体(TRPV1)を遺伝子学的に欠損させた場合の排尿機能に関する検討(TRPV1ノックアウトマウスを用いた検討)を行う前に薬理学的にTRPV1をブロックした場合の排尿機能に関する検討(TRPV1 antagonistをノーマルマウスに用いた検討)を行った。雌性BALB/cマウスにhalothane麻酔下で膀胱内にカテーテルを留置した。麻酔より回復後、そのカテーテルより膀胱内に生理的食塩水を一定速度で持続注入することにより膀胱内圧を覚醒下で測定した。TRPV1 antagonistであるNGV-A(3mg/Kg)あるいはその溶媒であるポリエチレングリコールを皮下投与した30分後にカプサイシン(50μM)を膀胱内に持続注入した。TRPV1 antagonistだけあるいは溶媒だけの投与では膀胱内圧に有意な変化はもたらさなかった。TRPV1 antagonistを前投与されなかった群はカプサイシン(50μM)膀胱内注入によりの有意な排尿間隔の短縮(-46.0±4.2%)を認めたのに対して、TRPV1 antagonistを前投与された群はカプサイシン(50μM)の効果が認められなかった(+2.7±6.8%)。つまり、カプサイシンの効果をTRPV1 antagonistは拮抗したものと思われる。薬理学的にTRPV1をブロックしたマウスもTRPV1ノックアウトマウスもカプサイシンの膀胱への効果が認められなくなるという部分は共通していた。TRPV1ノックアウトマウスはワイルドタイプマウスより高頻度にnon-voiding contractionを認めたのに対し、ノーマルマウスにTRPV1 antagonistを投与してもnon-voiding contractionの有意な増加は認められず、違いが存在することが明らかとなった。なお、今春よりTRPV1ノックアウトマウスの供給が予定されており、来年度にはTRPV1ノックアウトマウスを用いた各種検討の結果を報告できると思われる。
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