2004 Fiscal Year Annual Research Report
バニロイド1受容体ノックアウトマウスを用いた下部尿路の知覚神経系に関する研究
Project/Area Number |
15591675
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Research Institution | Akita University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 靖夫 秋田大学, 医学部, 助手 (20322117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河谷 正仁 秋田大学, 医学部, 教授 (00177700)
並木 幹夫 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70155985)
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Keywords | 膀胱 / カプサイシン / ノックアウトマウス / TRPV1 |
Research Abstract |
マウス代謝ケージおよび膀胱内圧測定を用いてバニロイド1受容体ノックアウトマウス(TRPV1 KO)の排尿機能に関する検討と病理組織学的検討を行った。 自然排尿状況を検討するために、マウス用代謝ケージ内で10週令の雌性TRPV1 KO(n=10)およびwild typemice(WT, n=5)を個別に飼育し、個々の動物からの尿を採取し、電子天秤で重量測定し、コンピューターを使って経時的に尿量を記録した。排尿回数、一回排尿量および24時間の総排尿量は両群で差を認めなかった。 Cyclophosphamide(CYP)の腹腔内投与が膀胱刺激を原因とする頻尿をマウスに引き起こすことが知られているが、TRPV1 KOでも同様な変化が認められるかを膀胱内圧測定により検討した。10-11週令の雄性TRPV1 KO(n=12)およびWT(n=10)を用いた。あらかじめCYP(150mg/kg)あるいはvehicle(蒸留水)を腹腔内に投与した。投与後48時間後に膀胱内圧を覚醒下で測定した。WTにおいてvehicle投与群(337.6±27.5秒)と比較してCYP投与群(116.8±8.2秒)は有意に排尿間隔が短くなった。それに対してTRPV1 KOの排尿間隔はvehicle投与群(288.7±35.9秒)とCYP投与群(251.5±16.5秒)の間に有意な差が認められなかった。一方、最大排尿圧は両動物での各群間で有意な差を認めなかった。CYP(150mg/kg)あるいはvehicle腹腔内投与48時間後の膀胱の切片をHE染色し、病理組織学的に評価したところ、TRPV1 KO(n=6)とWT(n=7)のCYP投与群の両方に炎症所見が認められた。 マウス代謝ケージの実験から求めた一回排尿量は覚醒下膀胱内圧測定の結果と矛盾しなかった。また、CYPで誘発された慢性膀胱炎による頻尿の発現機序にTRPV1が関与していることが示唆された。炎症情報を中枢へ伝達する求心路においてTRPV1が重要な役割を果たすと予想される。
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Research Products
(6 results)