2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトおよびウサギ排尿筋におけるカルシウム感受性調節機構の検討
Project/Area Number |
15591694
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
関 成人 九州大学, 大学病院, 講師 (90294941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 淳二 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90237727)
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Keywords | 細胞内カルシウム / ヒト排尿筋 / カルシウム感受性 / Rho kinase / Protein kinase C / カルバコール / ヒト前立腺 |
Research Abstract |
表面蛍光測定法(Fura-2 25Mm負荷)による細胞内カルシウムイオン濃度([Ca^<2+>]_1)と発生張力の同時測定、α-toxin処理脱膜化標本による張力測定、ならびにWestern blot法を用いて、ヒト膀胱平滑筋(排尿筋)におけるカルシウム感受性増加機序の関与の有無、ならびに同機序におけるRho kinase(ROCK)およびProtein kinase C(PKC)の生理的意義について検討した。本研究により得られた知見は、(1)排尿筋の主要アゴニストであるカルバコール(CCh,1μM)刺激よる[Ca^<2+>_1上昇は60mM高カリウム細胞外溶液による脱分極刺激と比較して同程度であったが、発生張力はCCh刺激の方が3倍程大きかった。(2)脱膜化標本において、300nM Ca^<2+>と10μM GTPにより惹起された収縮反応にCChを投与すると、[Ca^<2+>]_1が一定の条件にもかかわらず、さらなる収縮反応を生じた。また[Ca^<2+>_i]-収縮反応曲線はCCh投与によって有為に左にシフトした。(3)CCh収縮の持続相にY-27632(ROCK阻害薬:3μM)あるいはGF109203X(PKC阻害薬:3μM)を投与すると、[Ca^<2+>]_iは低下せず、張力のみ低下した。また、α-toxin脱膜化標本でも、300nM Ca^<2+>と10μM GTPおよび1μM CChにより惹起された収縮反応はY-27632あるいはGF109203Xの投与にて、[Ca^<2+>]_1は一定で弛緩反応を生じた。(4)Western blot法を用いて検討した結果、RhoA, ROCK I, ROCK II, CPI-17の発現が確認された。 以上より、ヒト膀胱平滑筋の収縮には、RhoA-ROCK pathwayあるいはPKC-CPI-17 pathwayを介したCa^<2+>感受性調節機序も関与していることが推定され、これらの機序の調節は、新たな排尿障害治療薬のターゲット部位となる可能性が考えられる。
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Research Products
(5 results)