2004 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生を制御する血管内皮細胞特異的なシグナル伝達経路の同定-新しい抗血管新生療法の開発を目指して-
Project/Area Number |
15591698
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
神田 滋 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (20244048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金武 洋 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50100839)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 分化 / シグナル伝達 / Fes / Fyn / Rho / FGF-2 / PEDF |
Research Abstract |
血管内皮細胞特異的な抗血管新生療法開発のため、分子標的探索目的で、内皮細胞の分化(管腔形成や毛細管形成)、およびチロシンキナーゼFesを中心としたシグナル伝達経路を解析した。 (1)繊維芽細胞増殖因子-2(FGF-2)による内皮細胞の毛細管形成には、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体1を介する内因性のVEGF-Aが必要であった。 (2)内皮細胞の毛細管形成は、細胞の運動や形態形成に関わるactinの重合化よりも、細胞と細胞外基質との結合部である接着班の安定化が重要で、低分子GTPaseのRho活性の抑制が関与していた。 (3)色素上皮由来因子(PEDF)は、FGF-2による毛細管形成を抑制した。その機序として、Fesを介したFyn活性の抑制が認められた。FynはRho GTPase activating proteinをリン酸化して、Rho活性を抑制することで、(2)の仕組みによる毛細管形成に関与していることが示唆された。 (4)FGF-2による内皮細胞の管腔形成には、Fynの活性化が必要であるが、その下流のシグナルとして、Fyn依存性の転写因子T-cell factorによるfibronectin産生が重要であることがわかった。 (5)以上により、内皮細胞の分化には、内因性のVEGF-Aのシグナルの存在化で、Fyn活性が重要な役割を果たしていることが考えられた。従って、VEGF-A、あるいはFynは、血管新生阻害療法のよい標的になりうるが、いずれの分子も血管内皮細胞特異的なものではないため、今後さらなる検討を続ける必要があると思われる。
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Research Products
(5 results)