2005 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族アミン曝露者に発生する尿路上皮腫瘍の分子生物学的研究
Project/Area Number |
15591710
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
新家 俊明 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00073718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 武 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30254543)
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Keywords | ベンチジン / 職業 / 染料工場労働者 / 膀胱腫瘍 / 分子疫学 / 腫瘍抑制遺伝子 / 上皮増殖因子受容体 / erbB-1遺伝子 |
Research Abstract |
化学染料工場においてベンチジンなどの芳香族アミンに曝露し、その後尿路上皮癌を発症した職業性尿路上皮癌は、自然発生尿路上皮癌と比較してさまざまな生物学的行動が異なる。 芳香族アミン曝露者におけるGlutathion S-transferase M1 (GSTM1)遺伝子の研究では、多量の発癌物質に曝露された集団のなかでも発癌するものとしないものがあることから、発がんに関わる労働環境因子と宿主特異的因子の差を分子疫学的に解析し、GSTM1遺伝子欠損者に発がんが多い傾向をみとめた。続いて、自然発生尿路上皮癌と職業性尿路上皮癌組織において免疫組織染色によるp53過剰発言とDNA sequence analysisによるp53遺伝子突然変異を検討し、p53過剰発現陽性率は職業性尿路上皮癌では自然発生尿路上皮癌に比べ、有意に高い陽性率を示した(p=0.02)。職業性尿路上皮癌ではp53遺伝子変異の頻度は自然発生尿路上皮癌に比べ高い傾向を示した。 今年度は、職業性膀胱腫瘍における上皮増殖因子受容体(EGFR)発現を検討した。職業性膀胱腫瘍におけるEGFRの発現は自然発生膀胱腫瘍に比べ有意に過剰発現を示した。本結果は、職業性膀胱腫瘍の治療においてEGFR阻害剤の導入を期待させるものである。現在EGFRをコードする遺伝子erbB-1の増幅、変異の有無を検索中である。
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