2004 Fiscal Year Annual Research Report
造精機能障害の発生機序:精細管基底膜に存在する糖蛋白質の解析
Project/Area Number |
15591719
|
Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
岩本 晃明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (60046117)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 陽子 独立行政法人科学技術振興機構, 研究員
|
Keywords | 造精機能障害 / 精細管基底膜 / 糖タンパク質 |
Research Abstract |
精子形成が障害されているヒト精巣では精細管基底膜の特徴的な肥厚が見られる。昨年までに、精子形成と基底膜の状態は深い因果関係にあり、精子形成過程が異常な時、肥厚した基底膜内層にはPNA-lectinに対して特異的な結合を示す糖蛋白があることを明らかにし、糖蛋白の同定を試みた。精巣内には様々な種類の細胞が存在し含有する蛋白も多いため、当初考案した糖蛋白のdifferencial screening system(2次元電気泳動、lectin affinity blotting,数種類のwestern blottingを組み合わせたもの)では多数候補が見られ、最終的に目的の糖蛋白を同定するに至らなかった。そこで今年度は糖蛋白同定system改善のため、新たな糖蛋白選択基準としてこの蛋白に結合する物質を探索した。肥厚した基底膜にはprogesteroneが吸着しやすいことを細胞生物学的な技法を用いて発見した。さらに、精巣内の様々な細胞や肥厚した基底膜に存在するPNA-lectinにより認識される糖蛋白は、肥厚した基底膜でのみprogesteroneと結合することを明かにした。今後はこの基底膜の性質を利用して肥厚した基底膜に存在する糖蛋白の同定を行う予定である。 細胞レベルでの糖蛋白発現機構を検討するためヒト精巣由来細胞株の樹立を試みた。まず、primary cultureの細胞集団から増殖能の良好な細胞集団を分離し、これらのサンプルに対し、EGFP遺伝子をマーカーとして遺伝子導入方法を検討した。その結果、非感染型のウイルスベクターを用いた方法が導入効率が良いことを明らかにした。今後、この方法を用いてhuman TERT(teromerase reverse transcriptase)遺伝子を導入し、ヒト精巣由来細胞株を樹立する予定である
|