2004 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌組織得意的発現遺伝子および発現抑制遺伝子の単離と遺伝子治療の基礎的研究
Project/Area Number |
15591730
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鹿沼 達哉 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90241885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
峯岸 敬 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00209842)
青木 宏 群馬大学, 医学部, 助手 (30344948)
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Keywords | 上皮性卵巣癌 / 卵巣明細胞癌 / 抗がん剤耐性遺伝子 / SP17 / 遺伝子治療 / アデノウイルス / エストロゲンレセプター / p16INK4A |
Research Abstract |
1.卵巣明細胞癌は子宮内膜症から発症することもあり日本人に多い組織型であるが、化学療法抵抗性、早期リンパ節転移により予後不良な組織型である。一方、卵巣漿液性腺癌は最も頻度の高い上皮性卵巣癌の組織型であり、腹膜播種を来すが化学療法には高感受性である。Differential Display法を用いて卵巣明細胞癌特異的発現遺伝子の同定を試み、1つの候補遺伝子としてSP17抗原遺伝子を発見した。SP17遺伝子をアデノウイルス由来発現ベクターに組み込み、漿液性腺癌由来細胞株に発現させたり、RNAiを用いて明細胞癌由来細胞株での発現を抑制させたりして、その機能を解析した。MTTアッセイ法およびCell deathディテクションキットを用い、抗がん剤パクリタイセルに対する感受性を測定した結果、SP17遺伝子が、卵巣明細胞癌における抗がん剤耐性遺伝子としての役割を担っていることが明らかとなった。 2.P16INK4A遺伝子は細胞周期G1-Sを制御するサイクリンディペンデントキナーゼインヒビターであるが、上皮性卵巣癌の約30%で、点突然変異や両側アリルの欠失、転写調節領域のメチル化により機能喪失を生じている癌抑制遺伝子の1つである。P16遺伝子補充卵巣癌遺伝子治療の基礎的実験として、アデノウイルス由来発現ベクターに組み込んだ。In vivo応用における機能発現調節機能を持たせるため、エストロゲンレセプターのDNA結合ドメインを欠失させたERα遺伝子のp16機能遺伝子を結合させΔER-p16融合蛋白発現系を作成した。理論的にはエストロゲン存在下にのみ融合蛋白は核内に移行し、p16の細胞周期制御機構が働き、エストロゲン非存在下では融合蛋白は細胞膜に留まり、p16は機能発現しないと考えられた。実験結果は、ΔER-p16遺伝子導入によるエストロゲン存在下特異的卵巣癌細胞の増殖抑制がMTTアッセイ法により観察され、Western Blotによる融合蛋白の発現やエストロゲン刺激による核内移行が確認され、遺伝子治療応用への可能性が確認された。
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