2003 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチドアナログの抗腫瘍効果および卵巣に及ぼす効果の作用メカニズムの分子的解明
Project/Area Number |
15591731
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢野 哲 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (90251264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 俊介 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70270874)
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Keywords | GnRHアンタゴニスト / HEC-1 / 子宮内膜癌 / 細胞周期 / フローサイトメトリー |
Research Abstract |
ヒト子宮内膜癌細胞株に対するGnRH antagonist(GnRHant)のG2期停止誘導作用 【目的】GnRHantの子宮内膜癌細胞に対する増殖抑制効果のメカニズムについて細胞周期の観点より検討した.【方法】(1)ヒト子宮内膜癌細胞株HEC-1AにおけるGnRHおよびGnRH受容体mRNAの発現をRT-PCR法により解析した.(2)HEC-1A培養細胞にGnRHantとしてCetorelix 10μMを添加し,24時間後,BrdU取り込み法によりDNA合成能を測定した.(3)Flow cytomeryにより細胞周期分布を解析した.(4)M期の指標であるphospho-histone 3の発現を蛍光染色法により検出した.(5)癌抑制蛋白および細胞周期制御因子の発現量の変動をWestern blot法により検討した.【成績】(1)HEC-1A細胞には,GnRHおよびGnRH受容体mRNAの発現が認められた.(2)Cetrorelixは,DNA合成能を有意に抑制した.(3)G2/M期は9.0%増加した.(4)phospho-histone3の発現頻度に変化はなく,M期ではなく,G2期の停止が誘導されることが判明した.(5)p53,phospho-p53,phospho-cdc2(Tyr15のリン酸化による不活型cdc2)の蛋白発現量は各々30.9%,61.5%,36.5%増加し,cdc2,cyclinBの蛋白発現レベルに変化はなかった.【結論】GnRHantによるヒト子宮内膜癌細胞に対する直接的増殖抑制効果が認められた.このメカニズムの一つとして,p53の活性を増強しcdc2を不活化することにより細胞周期のG2期停止をもたらすことが示唆された.
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