2004 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内胎児発育遅延の病型と胎盤血管増殖因子発現パターンの相関に関する研究
Project/Area Number |
15591738
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
金井 誠 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (60214425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦田 敬 信州大学, 医学部, 助手 (00334897)
北 直子 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (30293484)
二階堂 敏雄 信州大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50180568)
小西 郁生 信州大学, 医学部, 教授 (90192062)
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Keywords | placenta growth factor / vascular epithelial growth factor / 子宮内胎児発育遅延 / 抗リン脂質抗体症候群 / 妊娠高血圧症候群 / 妊娠 |
Research Abstract |
患者の同意を得て採取した母体血清(正常妊婦101検体、IUGR症例47検体、妊娠高血圧症候群26検体)中のPlGF, VEGF発現量を検討した結果、正常妊婦のPlGF値は週数と共に漸増し妊娠26-30週でピークとなり、妊娠満期に若干低下する傾向を示した。胎盤の娩出直後には激減しているため、胎盤で産生されているPlGFが、母体血清中に移行していると推察された。IUGR群および妊娠高血圧症候群の母体血清PlGF値は正常群と比して有意に低値であった。正常妊婦のVEGF値は全妊娠期間および産褥期を通じてほぼ同様の値を示し、IUGR群および妊娠高血圧症候群と比しても著変はなかった。すなわち、母体血清VEGF値はIUGRや妊娠高血圧症候群との関連を認めなかった。 また、胎盤内とくに絨毛間腔に血栓が形成された場合には、絨毛はダメージを受けPlGFの産生量の低下と母体血清中のPlGF値の低下が予想される。そこで、IUGRやIUFDの原因となる抗リン脂質抗体症候群(以下APS)合併妊娠に注目して、PlGF値およびVEGF値と胎児予後との相関を検討した。対象はAPS合併妊婦7症例(経時的な採血で合計38検体)で、その内3症例は子宮内胎児死亡に至り、4症例はIUGRも認めず健児を得た。結果は、IUFDになったAPS症例では妊娠初期からIUFDに至るまで、正常妊婦群と比べて母体血清PlGF値は有意に低値であった。また生児を得た症例の母体血清PlGF値は、正常妊婦群との変化を認めなかった。母体血清VEGF値は、胎児予後に関わらず正常群と有意差を認めなかった。以上の結果より、APS合併妊娠においては、胎児予後を予測可能な適当なマーカーの存在は明らかでなかったが、母体血清中PlGF値を測定することによりにより、胎児予後を予測できる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)