2003 Fiscal Year Annual Research Report
分泌期子宮内膜のダイナミズムと胚着床・妊娠成立との時間的空間的関連性の解析
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15591741
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安藤 寿夫 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90273234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 栄彦 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00159162)
岩瀬 明 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (20362246)
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Keywords | ペプチダーゼ / 子宮内膜 / 着床 / 脱落膜化 / 血管新生 / 卵巣過剰刺激症候群 |
Research Abstract |
本研究は、胚着床から妊娠成立までの一連の過程でペプチド分解酵素が具体的にどのような役割を担っているのかについて、生理活性ペプチドと内分泌・免疫の連関を中心に検討するものである。 1)A-LAPの子宮内膜における発現と局在の検討 脂肪細胞由来ロイシンアミノペプチダーゼ(A-LAP)は我々が研究を続けている胎盤性ロイシンアミノペプチダーゼ(P-LAP)と共通性の高いペプチド分解酵素である。この酵素を世界で初めてクローニングした理化学研究所の服部博士から提供を受けた抗体を用いて、インフォームドコンセント済みの子宮内膜組織検体における月経周期各期の蛋白発現を調べた。また、同じく同意済みの子宮内膜組織パラフィン包埋ブロックを薄切し、同じ抗体を用いて免疫組織染色により局在を調べた。その結果、月経周期各期においてA-LAPは発現しており、免疫組織染色による局在は腺上皮細胞、表面上皮細胞に限定し間質細胞には局在を認めなかった。この傾向はP-LAPと同様であったが、P-LAPで認めたような細胞内局在の変化は蛍光抗体を用いた解析でも認められなかった。 2)培養子宮内膜間質細胞の脱落膜化とAngIIによるVEGFの誘導についての検討 子宮内膜間質組織において、着床期頃より生じる脱落膜化により、内膜間質細胞は脱落膜化細胞へと分化を遂げる。これに伴い、アンギオテンシンII(AngII)分解酵素アミノペプチダーゼAの発現がほぼ消失してAngIIの局所濃度は増加する。脱落膜化がラセン(細)動脈の伸長と同期していることから、AngIIによる血管内皮増殖因子(VEGF)の誘導について検討した。アンギオテンシン1型受容体mRNAの発現、AngIIによるVEGFmRNAの誘導を脱落膜化および非脱落膜化間質細胞にて証明した。 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)にも関連する卵巣黄体における同様の実験やその他のプロジェクトについても順調に進行中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ando H., Furugori K., et al.: "Dual renin-angiotensin blockade therapy in patients at high risk of early ovarian hyperstimulation syndrome receiving"Human Reproduction. 18. 1219 (2003)
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[Publications] Murata Y., Ando H., et al.: "Successful pregnancy after bromocriptine therapy......."Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 88. 1988 (2003)
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[Publications] 安藤寿夫: "ペプチド分解酵素が繰り広げる分泌期子宮内膜のダイナミズム"日本産科婦人科学会雑誌. 55. 1034 (2003)
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[Publications] 安藤寿夫, 柴田大二郎 他: "ARTにおけるOHSS完全回のためのdual renin-angiotensin......."日本不妊学会雑誌. 48. 292 (2003)
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[Publications] 原田統子, 岩瀬明, 安藤寿夫 他: "ヒト卵巣におけるaminopeptidase AおよびRAS関連因子の発現と局在"日本不妊学会雑誌. 48. 384 (2003)