2005 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤トロフォブラスト合胞体化の分子生物学的機序の解析:妊娠中毒症発症病態の解明
Project/Area Number |
15591752
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
工藤 美樹 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80241082)
|
Keywords | 胎盤 / トロフォブラスト / 合胞体化 / 細胞融合 / アミノ酸輸送 / 妊娠中毒症 |
Research Abstract |
膜表面タンパクであるCD98がヒト胎盤におけるシンシチオトロフォブラストの形成過程(シンシチウム化)に関与していることをトロフォブラストのシンシチウム化のモデルであるBeWo細胞(forskolin添加により細胞内cyclicAMPレベルを上昇させるとシンシチウム化が誘導される)を用いて、アンチセンス法およびRNA interference法の二つの別々の実験系により証明してきた。シンシチオトロフォブラストは母体-胎児間において、アミノ酸輸送を含め胎児への栄養代謝物の輸送に関わる細胞である。また、CD98はヘテロ二量体型のアミノ酸輸送担体を形成するタンパクである。そこで、シンシチオトロフォブラスト形成過程とアミノ酸輸送活性に関連があるかどうかを検討した。その結果、1)シンシチウム化に伴って、CD98が関与しているアミノ酸輸送系であるシシテムL、システムy^+Lを介するアミノ酸輸送活性(放射標識されたアミノ酸を基質として非標識アミノ酸を用いた交差阻害実験により求める)は上昇した。2)アンチセンス法およびRNA interference法を用いてCD98の発現を低下させシンシチウム化(研究者らが開発したフローサイトメーターを用いたシンシチウム化の定量的測定系を用いて測定)を抑制すると、シシテムL、システムy^+Lを介するアミノ酸輸送活性も低下した。これらの結果より、シンシチオトロフォブラストの重要な機能のひとつであるアミノ酸輸送活性はシンシチウム化に伴って上昇することが証明された。さらに、シンシチオトロフォブラストの形成不全が特徴である妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)では子宮内胎児発育遅延を合併することが知られており、得られた結果によりこの二つの病態の関連を説明することが可能である。
|
Research Products
(3 results)