2003 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌におけるエピジェネティクスの異常の解析と治療への応用についての研究
Project/Area Number |
15591769
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
藤井 美穂 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00260761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時野 隆至 札幌医科大学, 医学部, 教授 (40202197)
豊田 実 札幌医科大学, 医学部, 助手 (70270676)
寒河江 悟 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (00187056)
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Keywords | 卵巣癌 / エピジェネティクスの異常 / アポトーシス / TMS1 / ASC / Fanconi-anemia / BRAC pathway / 細胞周期M期 / CyclinB / 微小管阻害剤(タキサン系抗癌剤) |
Research Abstract |
1.アポトーシス関連遺伝子:TMS1/ASC遺伝子に異常メチル化が卵巣癌細胞株に高率に認められることを報告した。TMS1/ASCの発現はメチル化により発現が抑制されていて、これはメチル化阻害剤で処理することにより再発現する。また同時にCHIPアッセイによりヒストンのアセチレーションが起こっていることを示した。他のアポトーシス関連遺伝子であるDAPK,APAF-1,Caspase-8との関係も検討した。卵巣癌組織では15/80例(19%)にTMS1/ASCのメチル化を認め、臨床病理学的検討ではその頻度は明細胞性腺癌で他の組織型に比べ有意に高かった。これは抗癌剤に抵抗性を示し予後不良な明細胞腺癌の生物学的な特徴の解明に重要である。 2.Fanconi-anemia/BRAC pathwayの異常とシスプラチン感受性:卵巣癌におけるFA/BRCA pathwayに関わるFANCF分子のメチル化による異常がシスプラチンの感受性に関与していることが報告された。我々も異なった細胞株を用い、3/16(18.8%)にFANCFのメチル化による異常が起こっていて、これらはシスプラチンに高い感受性を示した。卵巣癌組織では、1/80例(1.3%)にしかその異常は認められず、最初の報告(21%)に比べ頻度は低く、人種間の違いがあることを示した。 3.細胞周期調整遺伝子:細胞周期M期に関わる遺伝子の異常と微小管阻害剤の感受性を検討した。ドセタキセルを暴露させたMitotic Indexの高い細胞株は抗癌剤に高い感受性を示した。更にこれらの細胞株ではCyclinBの核への集積が認められた。これらのCyclinBの発現を調節している分子として、我々が他の癌でその関連を示したCHFRの異常メチル化が卵巣癌株では頻度は低かった。現在BUB1,MAD, Auroraなどの分子について検討中である。
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Research Products
(1 results)