2005 Fiscal Year Annual Research Report
精子運動能および受精能を障害する男性側抗精子抗体の対応抗原の同定
Project/Area Number |
15591776
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Research Institution | JICHI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
柴原 浩章 自治医科大学, 医学部, 助教授 (80206143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見澤 聡 自治医科大学, 医学部, 助手 (00306135)
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Keywords | 免疫性男性不妊症 / 抗精子抗体 / 受精機能 / 体外受精 / 顕微授精 / 精子細胞膜タンパク |
Research Abstract |
抗精子抗体による男性の免疫性不妊発症機序として、射出精子細胞膜に結合する抗体が精子運動性を障害したり、あるいは受精を阻害することを明らかにしてきた。これに対して、不妊女性においても同種抗体としての抗精子抗体が存在し、その中で補体依存性に精子の運動性を障害する精子不動化抗体が、臨床上最も重要な役割を演じることがすでに判明している。 本年度は臨床的観点から、抗精子抗体、特に精子不動化抗体が性差を示すかに注目して解析を進めた。その結果、男性では女性に比し精子不動化抗体の保有頻度が有意に少なく、抗体の生物活性である受精障害の程度についても性差を認め、男性で有意に低頻度であった。以上ヒトにおける精子免疫にも性差が存在することを初めて明らかにした。 また精子不動化抗体を保有する免疫性不妊女性の診療指針を確立してきたが、男性における抗精子抗体の取り扱いは未確立であった。そこで男性不妊患者約1000例の射出精子上の抗精子抗体をスクリーニングした結果から、系統的な診断・治療法を考案し、レビュー論文として発表した(研究発表論文-1)。すなわち精子細胞膜に結合する抗精子抗体を検出した場合、不妊発症との関連を確認する目的で、post-coital test (PCT)により性器管内精子通過性を、またhemizona assay (HZA)により受精阻害作用の有無を二次的に検討する。これらの結果に基づき、容易に適切な治療法を決定できる診療指針を初めて確立した。 一方、抗精子抗体保有男性血清を用い、ヒト精子細胞膜タンパクとの反応から対応抗原を同定する試みは、現在他施設との共同研究として進行中である。上述のごとく分子レベルでも性差が存在することが明らかとなれば、抗精子抗体診療における様々な未解決問題を解明する手がかりとして期待できる。
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Research Products
(5 results)