2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト精子DNA傷害定量法開発とそれを指標としたDNA損傷精子排除法の確立
Project/Area Number |
15591781
|
Research Institution | TOKYO DENTAL COLLEGE |
Principal Investigator |
兼子 智 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (40214457)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 博通 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (60112679)
|
Keywords | ヒト精子 / DNA / DNA損傷 / 電気泳動 / 薄膜ゲル |
Research Abstract |
ヒト精子DNA損傷の定量的観察法を開発した。個々の精子のDNA損傷を定量的に観察するため、single cell pulse gel field electrophoresis (SCPFGE)を開発した。装置は位相を90度ずらした2組の電極を有し、3秒インターバルで直交電場(2.0V/cm、10分間)を印加する。表面親水化処理したスライドグラス上に100μg/mlのアフィニティクロマトグラフィ精製トリプシンを含むアガロースに懸濁した細胞(30万/ml)を滴下し、薄膜ゲルを作成した。これを界面活性剤、トリプシン溶液に浸漬して、細胞融解、核蛋白の除去を行った。SCPFGEにより泳動を行うと、1.連続するDNAファイバーが原点から伸展する、2.DNAファイバーの先に断片化DNA、3.鎖長が異なるDNA断片が展開する、4.原点が消失し、高度断片のみを認める、など多様な像が得られた。これまで報告されたアルカリコメット法によるDNA断片化研究は、粒子状の断片化DNA像の有無でDNA損傷を判定していたが、ゲノムDNA(長鎖DNA)はアルカリ処理において、濃度依存性に断片化することが示され、アルカリコメット法はDNA断片化研究には不適であることが示唆された。 上述したSCPFGEにより射精精液を観察すると、DNA断片化像を呈する精子の比率は20-70%程度であった。本研究で開発した方法を指標としてDNA損傷精子の排除を試みた。Percollを密度勾配担体とする沈降速度差遠心分離法で精子を分離した後、オプチデンツを担体とする沈降平衡法を行うと、精子は2峰性に分布した。上層のDNA損傷比率は1%以下に低下したが、下層ではほとんどがDNA高度断片化像を示した。この結果はDNA損傷に伴い、細胞性状、特に密度が変化することが明らかとなった。上層の精子分画は運動率が高く、先体反応誘起能が高かった。さらに電顕による形態観察の結果、超微形態も良好であった。
|
Research Products
(1 results)