2004 Fiscal Year Annual Research Report
杯細胞分泌小胞のエクソサイトーシスからみた鼻茸形成のメカニズム
Project/Area Number |
15591793
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
鈴木 秀明 産業医科大学, 医学部, 教授 (20187751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 和伸 産業医科大学, 医学部, 講師 (90299628)
宇高 毅 産業医科大学, 医学部, 助手 (10369069)
橋田 光一 産業医科大学, 医学部, 助手 (90389461)
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Keywords | 鼻茸 / 杯細胞 / エクソサイトーシス / 分泌小胞 / Ussing chember / 共焦点レーザー顕微鏡 / 密着結合 / SDS電気泳動 |
Research Abstract |
1)SDS電気泳動による鼻茸内容液の分析 慢性副鼻腔炎患者から手術時に採取した鼻茸を生理食塩水で洗浄した後、切開して内容液を集めリン酸緩衝液で希釈し、遠心して細胞成分を除去した。遠心上清をヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ケラタナーゼで酵素処理した後、12.5%SDSポリアクリルアミド電気泳動にかけその蛋白組成を分析した。しかし酵素処理前と同様に蛋白成分が重層ゲルから分離ゲルへ十分に移行せず分析が困難であった。鼻茸内容液には有意な量のヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸は含まれていないものと推定された。 2)鼻茸上皮細胞分泌小胞のエクソサイトーシスの観察 手術時に採取した鼻茸を細胞膜のマーカーであるFM4-64と分泌小胞のマーカーであるlysotracker greenによって生体蛍光二重染色した。励起波長は488nmを用い、蛍光波長はFM4-64が650nm、lysotracker greenが540nmである。これを共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡下で粘膜表面に垂直なZ軸方向の断面で観察したが、底側面への分泌は認められなかった。 3)Ussing chamber法による鼻茸上皮イオン輸送の測定 手術時に採取した鼻茸を割断して半球状にトリミングし、これをUssing chamberに取り付けた。いくつかの症例では電気抵抗は100Ω・cm^2程度で、無刺激の状態で約20μA/cm^2の内向き(頂側 基底側)短絡電流(Isc)が検出された。しかし再現性に乏しく、多くの症例では電気抵抗は15〜40Ω・cm^2程度であり短絡電流は検出されなかった。以上より鼻茸上皮には能動イオン輸送機構が存在している可能性があるものの、多くの場合上皮細胞間の密着結合が障害されているため、能動輸送により発生する短絡電流は遮蔽されてしまうものと推定された。 4)超微形態レベルでの密着結合の観察と細胞膜リン脂質の移動 鼻茸上皮を透過電顕によって観察すると、密着結合の不整な部分が認められた。さらに頂面にビオチン標識したリン脂質を負荷し、これにアビジン-ゴールドを結合させた後透過電顕下に観察したが、トレーサーの底側面への漏逸は認められなかった。
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