2004 Fiscal Year Annual Research Report
重力変化の中枢神経系に対する影響 空間識異常の分子生物学メカニズムの探究
Project/Area Number |
15591812
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀井 新 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30294060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三代 康雄 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00263260)
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Keywords | ストレス / 空間認知 / コルチコステロン / ACTH / 海馬 / 視床下部 / ラット / 重力 |
Research Abstract |
重力の変化は宇宙適応症候群に代表される様々な影響を生体に及ぼし、生体にとって有害なストレスであるといえる。そのため、重力を変化させると生体防御系としてストレス反応がおこり視床下部-下垂体-副腎皮質系(HPA axis)に代表される神経内分泌系が賦活されると考えられる。今回我々は、重力の変化がHPA axisに与える影響を、ラット過重力負荷モデルを用い、血漿コルチコステロン値と血漿ACTH値を測定し検討した。Wistar系雄ラットを用い、遠心加速度刺激装置にて2Gの負荷を1時間と3時間別々のラットに施行した。採血は、頸静脈に挿入固定したシリコンカテーテルより負荷前、負荷直後、負荷1時間後、負荷3時間後の4回施行した。実験時負荷装置の側にラットを置き対照とした。1時間の過重力負荷では血漿コルチコステロン値、血漿ACTH値とも直後に増加した。血漿コルチコステロンは負荷後1時間後も高値を示したが3時間後には負荷前の水準に戻った。血漿ACTHは1時間後にはほぼ負荷前と差がなくなった。3時間負荷では負荷直後のみ血漿コルチコステロン値、血漿ACTH値の高値を認めた。過重力負荷にて、血漿コルチコステロン値、血漿ACTH値は上昇し、HPA axisの賦活化を認めた。またこの変化は、過重力負荷直後の急性反応の結果であり、比較的早期に正常化したと考えられる。 我々は昨年度の本研究において、過重力負荷がラット放射状迷路試験において空間認知を阻害することを報告している。軽いストレス下で血漿コルチコステロン値が上昇した状態では記憶力が上昇したり、非特異的な脳機能が活性化することが知られている。過重力負荷によるHPA axisの活性化は、空間認知の中枢である海馬において障害された空間認知機能を代償する働きがあるのではないかと考察した。
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Research Products
(1 results)