2003 Fiscal Year Annual Research Report
Aquaporin2の内耳における局在とその動態に関する研究
Project/Area Number |
15591818
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
竹田 泰三 高知大学, 医学部, 教授 (50115763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿木 章伸 高知大学, 医学部, 講師 (60243820)
岡田 暉彦 高知大学, 医学部, 助教授 (00025628)
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Keywords | aquaporin 2 / V2-receptor / vasopressin / OPC-31260 / 炭酸リチュウム |
Research Abstract |
Stress-VP-AQP2 systemが内耳でどのように機能しているかを解明し、内耳の水代謝機構の破綻によって生じる内リンパ水腫関連疾患の病態解明と治療戦略を探るのが本研究題目の最終目的である。平成15年度の成果を以下に記す。1)アクワポリン2(AQP2)蛋白は血管条では基底細胞に、内リンパ嚢上皮では管腔側に局在することが組織科学的に同定された。2)バゾプレッシン(VP)のrenal type receptor (V2-R)は,血管条では基底細胞、内リンパ上皮では基底側に局在することが同様に組織科学的に同定された。3)血管条でのアクワポリン1(AQP1)の局在は中間細胞上皮にあることが組織電顕によって解明した。以上の結果より、AQP2とV2-Rの内耳での局在は内リンパ液の代謝経路説の1つであるlongitudinal説と矛盾しないことが分かった。血管条での水の動きは、基底細胞外側に有る外リンパ腔より基底細胞に流入し、ギャップ結合を経由して中間細胞に至り、AQP1によって構成される水チャネルを経由して血管条の細胞間隙に達すると考えられる。一方、内リンパ嚢上皮では管腔側より水は流入し、基底側に動く経路が考えられるが、内リンパ嚢上皮基底側の水チャネルは現時点では解明されていない。いずれにしても、血管条と内リンパ嚢における水の動きはVPによって制御されていることが判明した。臨床面に直結する研究成果としては、V2-receptorの拮抗剤であるOPC-31260の内リンパ水腫減荷効果は、内耳組織の障害を及ぼす危険性のある鼓室階注入でなくて、正円窓経由の投与でも得られることが判明した。さらに、AQP2合成の阻害剤である炭酸リチウムの経口服用も内リンパ水腫の減荷効果があることが、予備実験レベルであるが判明した。平成16年度は、この点についてもより詳細に検討する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 澤田正一: "Aquaporin-1 (AQP1) is expressed in the stria vascularis of rat cochlea"Hearing Research. 181. 15-19 (2003)
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[Publications] 竹田泰三: "The effects of V_2-antagonist (OPC-31260) on endolymphatic hydrops"Hearing Research. 182. 9-18 (2003)