2004 Fiscal Year Annual Research Report
実験的内耳自己免疫病モデルの確立-新しい免疫学的手法を用いて-
Project/Area Number |
15591821
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
鈴木 正志 大分大学, 医学部, 教授 (60211314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 和秀 大分大学, 医学部, 助手 (10305055)
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Keywords | アジュバント / lpr / 蝸牛 / 関節炎 / 自己免疫病 / 聴性脳幹反応 / 難聴 / マウス |
Research Abstract |
昨年度の予備実験の結果をもとに、以下の検討を行った。 13から14週齢のメスMRL/MpJ-lpr/lpr (MRL/lpr)マウスを実験に用いた。Freund完全アジュバント(FCA)をwater in oilエマルジョンにし、皮内に0.05mL注射した。ABR測定装置(Bio-Logic Systems)を用いて、FCA投与前、投与2〜4週後、および投与6週後に聴力レベルの判定を行い、生食のみを投与した対照群との間で比較を行った。 処置前マウスの平均聴力レベルは、FCA投与群20dB、対照群19dBで、有意差はなかった。投与2〜4週後の聴力レベルはFCA群で23dB、対照群で17dBであったが、統計学的には有意な差ではなかった。しかし、投与6週後には平均聴力レベルは、FCA群で30dB、対照群で17dBとなり、統計学的に有意差を認めた。聴力レベル40dB以上を難聴と仮定し、難聴発現率の比較を行った。投与6週後のマウスでは、対照群で難聴発現率が0%であったのに対して、FCA群では29%に難聴が発現した。 FCAの投与によって、MRL/lprマウスに難聴が発現しやすくなる可能性が示唆された。しかし、今回の検討では難聴の発現率は30%以下であり、免疫異常による難聴の実験モデルとするには、満足のいく結果とはいえない。MRL/lprマウスの難聴は約20週齡以降に出現するとされている。今回聴力の最終評価を行ったのは20週齡以前であり、FCAが難聴をより早期に発現させると考えたが、難聴を高頻度に発現させるには、より長期の観察が必要かもしれない。また、効果的なFCAの投与量や投与回数なども、今後検討していきたい。
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Research Products
(2 results)