2003 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部の知覚および自律神経節における慢性低酸素暴露に伴う神経ペプチドの分布の変化
Project/Area Number |
15591824
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
松田 秀樹 横浜市立大学, 医学部, 助手 (80305458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下部 辰三 国士舘大学, 体育学部, 教授 (80117663)
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Keywords | 慢性低酸素 / Isocapnic hypoxia / Hypercapnic hypoxia / Hypocapnic hypoxia / 神経ペプチド / 免疫組織化学 / In situ hybridization |
Research Abstract |
1.免疫組織化学的検討 (1)頸動脈小体内の血管周囲に分布するNO合成酵素(NOS)含有神経線維は、慢性低酸素暴露(10% O_2、3-4% CO_2 3ヶ月間)によって43%に減少した。また主細胞周囲のNOS線維は23%に減少した。カルシウム結合蛋白の一つであるCalbindin D-28k含有神経線維は、主細胞周囲の線維のみ30%に減少したが、血管周囲の線維には変化を認めなかった頸動脈小体の主細胞周囲におけるNOS線維とCalbindin D-28k線維の慢性低酸素暴露による変化は、頸動脈小体の慢性低酸素に対する形態的順応を示しているばかりではなく、動脈血中酸素濃度の受容にNOやカルシウムが何らかの修飾を加えていることが示唆された。(Adv.Exp.Med.Biol.536:353-358, 2003) (2)頸動脈小体内神経ペプチド陽性線維の分布の変化を、3種類の異なる炭酸ガス濃度(Hypercapnic : 6-7%、Isocapnic : 2-3%、Hypocapnic : 0%)を用いて観察した。NPY陽性線維はHypercapnic hypoxiaにおいて他の条件に比べて40%増加した。VIP線維はIsocapnicとHypocapnicにおいてコントロールと比較して80%増加したが、Hypercanic hypoxiaではコントロールとほぼ同様であった。これらの結果から、慢性低酸素による頸動脈小体の血管膨張はVIPの血管拡張作用によることが示唆され、VIPが血流調節介して頸動脈小体の化学受容に関与していると考えられた。 またHypercapnic hypoxiaによる慢性低酸素暴露では頸動脈小体内の血管拡張が少ないことが知られており、これはNPYの血管収縮作用が関係していると考えられた。(Adv.Exp.Med.Biol.536:611-617, 2003) 2.In situ hybridizationによる検討 免疫組織化学による結果から、慢性低酸素暴露によって頸動脈小体内の知覚および自律神経に形態的変化が生じることが示されたため、神経節細胞内の神経ペプチドの転写を観察するためにIn situ hybridization(ISH)を施行中である。ビオチン化オリゴプローブを用いたISHでは非特異的反応が認められたため、^<35>Sを用いた放射性ISHを現在検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H Matsuda: "Nitric oxide and calcium binding protein in hypoxic rat carotid body"Adv.Exp.Med.Biol.. 536. 353-358 (2003)
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[Publications] T Kusakabe: "Peptidergic innervation in the rat carotid body after 2, 4 and 8 week of hypocapnic hypoxic exposure"Histol.Histopathol.. 18. 409-418 (2003)
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[Publications] T Kusakabe: "Rat carotid bodies in systemic hypoxia. Involvement of arterial CO2 tension in morphological changes"Adv.Exp.Med.Biol.. 536. 611-617 (2003)