頭頸部癌の癌抑制遺伝子プロモーター領域メチル化の研究―唾液による癌診断は可能か―

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 15591832
• Research Institution: Tokai University
• Principal Investigator: 大上 研二 東海大学, 医学部, 助教授 (90223734)
• Keywords: 癌抑制遺伝子 / 頭頸部癌 / 遺伝子メチル化 / 唾液診断

Research Abstract

頭頚部癌の癌化に関わる癌抑制遺伝子p16,FHIT, RAR-βの異常メチル化の頻度と臨床病理学的因子との関連を明らかにすることを目的に実験をおこなった.また臨床への応用として,唾液中に含まれる微量の癌細胞のDNAメチル化を検出し,唾液検体による癌診断や経過観察に応用できるかどうかを検討している.
1)研究材料
本学付属病院で検査,治療を受けた頭頸部癌患者から採取した癌組織を用いた.また治療前に採取した唾液を用い,スクリーニングや治療後の経過観察用の検体とした.
2)研究方法
頭頸部癌組織からDNA抽出キットを用いて腫瘍DNAを抽出した.同時に唾液を採取し,DNAを抽出し検体材料とした.
以上の検体をDNA modification kitでBisufite処理し,Methylation Specific PCR法でDNA異常メチル化を解析した.対象とした癌関連遺伝子はp16,FHIT, RAR-β遺伝子である.
3)結果
遺伝子のプロモーター領域のメチル化は約6割の症例に認められた.唾液検体より抽出したDNAで同様のメチル化陽性所見を検出できた.術前,術後の変化について検討中である.
以上の結果は15年5月の日本耳鼻咽喉科学会,6月の日本頭頸部腫瘍学会,9月の日本癌学会で発表した.