2003 Fiscal Year Annual Research Report
マウス内耳発生におけるプログラム細胞死と再生に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
15591839
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
原田 保 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30165021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 滋夫 川崎医科大学, 医学部, 助手 (70299220)
宇野 雅子 川崎医科大学, 医学部, 助手 (30341118)
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Keywords | アポトーシス / 非アポトーシス細胞死 / TUNEL法 / シスプラチン |
Research Abstract |
in vivoで胎生期マウスの内耳に認められるTUNEL陽性死細胞は、光顕レベルの核形態からapoptotic dying cell(ADC)とnon-apoptotic dying cell(NADC)に分類できる。今回の実験にて内耳全体の総死細胞数のうちADCは約90%,NADCは約10%存在することが明らかとなった。母体腹腔からシスプラチンによる内耳毒性負荷を行なっても、胎生期マウス内耳の総死細胞数は著変を示さずにADCは約70%,NADCは約30%と発現率に変化を来すことも判明した。Clarke(1990)の報告した発生期死細胞電顕分類によると死細胞にはtype1,2,3が存在し、type1はアポトーシス,type2は自己貪食性細胞死,type3はネクローシスであると言われている。光顕レベルでADCと判定される細胞のほとんどはtype1死細胞と予想されたが、NADCは"non-type 1"死細胞より詳細な判定は光顕レベルでは不可能であった。 一般的にin vitroではシスプラチンはアポトーシスを誘導すると言われており、自験例のin vivoでもシスプラチンによるADCの増加を予想したが、ADCは増加するどころか減少を示した。これらの事実により内耳発生期のin vivoにおいては、シスプラチン負荷に対して総死細胞数を維持するという防衛機構の存在が示唆された。すなわち発育不全の一因となる総死細胞数の増加は、発生期においては回避すべき事項であり、内耳は生理的に存在するADCとNADCの発現率を変化させて、それに対応していると考えられた。 現在、同対象を用いて切片表面エッチング処置による樹脂切片をTUNEL光顕観察し、同切片を再包埋後に透過電顕観察して、ADCとNADCの本態を解明中である。
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Research Products
(1 results)