2003 Fiscal Year Annual Research Report
種々の培養系疾患モデルを用いた網膜神経節細胞死の発症機序とその保護方法の検討
Project/Area Number |
15591848
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
柏木 賢治 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (30194723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 博 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (70273050)
今澤 光宏 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (20262652)
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Keywords | 網膜神経節細胞 / ミュラー細胞 / 視神経アストロサイト / 緑内障 / 虚血 / Microarray / Differential display / 軸索流 |
Research Abstract |
平成15年度は、網膜神経節細胞(RGC)、ミュラー細胞の単離培養に加え、視神経のアスロトグリアをラットより単離培養することに成功した。これらの細胞を用い、単離培養や共培養系を作成し、加重負荷や低酸素負荷などの負荷を加え、RGCの生存率の変化、各細胞の遺伝子蛋白レベルの変化を検討した。その結果、負荷量に応じてRGC障害は傷害され、本実験計が疾患モデル系として有用であることが判明した。これら負荷による各細胞における遺伝子の変化を、Microarray法を用いて検討した結果、RGCにおいては著明な変動遺伝子は多くなく、むしろグリア細胞、特にミュラー細胞において、サイトカインや細胞周期に関連した遺伝子を中心とし多くの因子の発現変化が起こることがわかった。 低酸素負荷をミュラー細胞に加えた際に、発現が増強する未知遺伝子をDifferential display法にて検出した。今後の本遺伝子の機能解析を予定する。 ミュラー細胞は加重負荷時、共培養されたRGCの生存率を向上することが明らかになった。以前、増殖期のミュラー細胞はむしろRGC障害作用を示すことを示したが、ミュラー細胞はその環境によって、RGCに対し細胞障害性にも細胞保護性にも働くことが明らかになり、今後ミュラー細胞を標的にしたRGC保護治療の参考になると考えられた。 加重負荷時におけるRGCの形態変化を検討したところ、神経突起伸長が減少すると同時に、数珠状の変化を多く示した。加重負荷により神経突起の骨格蛋白構造が障害を受けている可能性を示しており、このような変化は細胞活性維持に重要な軸索流障害を引き起こし、ひいてはRGC死の原因となると考えられた。以上今年度の研究により、RGCとグリア細胞の相互作用とグリア細胞のRGC死への関与に関し新たな知見を得ると共に、RGC死を惹起する新しい軸索流障害機序を明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 柏木賢治: "Differences in nitric oxide production : a comparison of retinal ganglion cells and retinal glial cells cultured under hypoxic conditions"MOLECULAR BRAIN RESEARCH. 112(12). 126-134 (2003)
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[Publications] 柏木賢治: "Factors secreted by human amniotic epithelial cells romote the survival of rat retinal ganglion cells"NEUROSCIENCE LETTERS. 1-4 (2003)
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[Publications] 柏木賢治: "Increase in Dephosphorylation of the Heavy Neurofilament Subunit in the Monkey Chronic Glaucoma Model"INVESTIGATIVE OPHTHALMOLOGY & VISUAL SCIENCE. 44(1). 154-159 (2003)
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[Publications] 柏木賢治: "培養神経節細胞"先端医療技術研究所. 9 (2003)