2003 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障診療ガイドラインの妥当性の検証とそれに基づく本症の治療体系の再構築
Project/Area Number |
15591850
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
山本 哲也 岐阜大学, 医学部, 教授 (50134581)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 恭子 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (80334936)
澤田 明 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (80293570)
川瀬 和秀 岐阜大学, 医学部, 助教授 (40234067)
川上 秀昭 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (70345784)
|
Keywords | 緑内障 / 診療ガイドライン / 視野 / 視神経 / 神経保護 |
Research Abstract |
緑内障臨床データ解析:(1)正常眼圧緑内障の視野進行を、各測定点の視野感度閾値の線形回帰法により解析した。視神経乳頭出血を伴う症例では非出血例と比較して、固視点から10度以内の進行が高頻度(13.1%対5.1%)に生じ、それ以外の領域では差のないことが、判明した。このことは乳頭出血例において、非出血例より中心視野並びに視力障害がより高度に生ずる可能性を示唆する。(2)緑内障性視神経症の重要な所見である網膜神経線維層の新しいハイデルベルグレチナトモグラフを用いた観察法を考案し、その有用性を報告した。新方法は、慢性疾患であり、また、局所的な網膜神経線維層欠損が生じやすい正常眼圧緑内障の経過観察に適している。(3)3年以上経過観察されている正常眼圧緑内障を対象として、ハイデルベルグレチナトモグラフの視神経乳頭パラメータの回帰直線から緑内障の進行の有無を判定し、本方法の緑内障の経過観察における有用性を検証した。その結果、視神経乳頭パラメータと視野進行は必ずしも一致しないものの、回帰直線による解析により視神経乳頭の緑内障性の進行を客観的に解析することが可能なことを示した。 神経保護治療動物実験:既に我々が確立した方法を用いて、視神経に対する直接的な障害および眼圧上昇による視神経障害モデルをラット眼に作成し、新規薬物であるT-588の神経保護効果を検討した。視神経障害作成後、経時的に、眼圧・視神経乳頭・網膜の観察を行うとともに、組織学的に網膜・視神経の観察を行った。眼圧上昇モデルでは、T-588投与例で網膜神経節細胞の残存率(86.0±2.2%:平均残存率±標準誤差)は、対照例(72.9±3.8%)に比較して有意に良好であった。組織学的検討ではT-588投与例ではほぼ正常の構造が保持されていた。このことから、T-588はラット眼の緑内障モデル、視神経挫滅モデルで神経保護効果を有すると考えられた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Kono Y, Sugiyama K, Ishida K, Yamamoto T, Kitazawa K.: "Characteristics of visual field progression in normal-tension glaucoma patients with optic disk hemorrhages"American Journal of Ophthalmology. 135・4. 499-503 (2003)
-
[Publications] Miyake K, Uchida H, Sugiyama K, Yamamoto T, Kitazawa K, Shinohara H.: "Quantification of retinal nerve fiber defect in glaucoma- three dimensional analysis with Heidelberg Retina Tomograph"Japanese Journal of Ophthalmology. 47・4. 347-350 (2003)
-
[Publications] 加藤明子, 杉山和久, 河野吉喜, 内田英哉, 富田剛司, 山本哲也: "緑内障眼における視神経乳頭の経時的形態変化の客観的評価"日本眼科学会雑誌. 107・10. 597-601 (2003)
-
[Publications] Maeda K, Matsubara M, Nakai Y, Sawada A, Hara A, Yamamoto T.: "Neuroprotective effect of T-588 on retinal ganglion cell damage in experimental rat glaucoma model"Investigative Ophthalmology and Visual Science. (in press).