2004 Fiscal Year Annual Research Report
虹彩による視細胞の機能再生および胚性幹細胞による網膜色素上皮細胞の機能再生
Project/Area Number |
15591851
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
春田 雅俊 京都大学, 医学研究科, 助手 (90359802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 政代 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80252443)
影山 龍一郎 京都大学, ウィルス研究所, 教授 (80224369)
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Keywords | 虹彩 / 視細胞 / 分化誘導 / Crx / ホメオボックス遺伝子 / 過分極 / 網膜移植 / 視細胞変性疾患 |
Research Abstract |
緒言:我々は成体ラット虹彩組織を培養しCrxホメオボックス遺伝子を導入することにより、視細胞特異的なタンパクであるロドプシンやリカバリンを発現することを以前に報告した。これらの虹彩由来の視細胞様の細胞が光刺激に対して電気生理学的に視細胞同様に応答し、移植により宿主網膜内に生着できるかを検討した。 方法:成体ラット虹彩組織を培養し、レトロウィルスを用いてCrx遺伝子を導入した。引き続き、視細胞の分化誘導条件下で培養した。まず、RT-PCR法を用いて7つの視細胞マーカーの発現の有無を確認した。次に、Crx遺伝子を導入した単一の虹彩由来細胞に微小ガラス電極を挿入し、光刺激を加えた時の細胞内電位の変化を計測した。さらに、Crx遺伝子導入した虹彩由来細胞をEGFPで標識して網膜器官培養に移植し、宿主網膜内で生着できるかを検討した。 結果:Crx遺伝子を導入した虹彩由来細胞群では、以前に報告したロドプシンやリカバリンだけでなく、今回調べた7つの視細胞マーカーをすべて発現していることがRT-PCR法で確認された。一方、Crx遺伝子を導入しないコントロール細胞群ではこれらの視細胞マーカーはいずれも発現しなかった。次に、Crx遺伝子を導入した虹彩由来細胞では、電気生理学的に光刺激により過分極に応答することが確認された。さらに、網膜器官培養に移植すると、移植細胞は宿主網膜内に進入し、一部は視細胞様の形態を取ることが観察された。 考察:成体ラット虹彩由来細胞にCrx遺伝子を導入すると複数の視細胞特異的マーカーを発現しており、視細胞としての分子生物学的な特徴を有している。またこれらの細胞は光刺激に対して視細胞と同様に電気生理学的に過分極に応答し、移植により宿主網膜内で生着できる。自己の虹彩組織は周辺虹彩切除術により安全確実に採取することができる。そのため、視細胞変性疾患の患者自身の虹彩組織を用いて、将来、拒絶反応のない視細胞移植を行うことができる可能性がある。
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Research Products
(13 results)