2005 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素上皮細胞に対する酸化ストレスとCTGFおよびMMPとの関連
Project/Area Number |
15591856
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
五味 文 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80335364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生野 恭司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50294096)
大島 佑介 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20362717)
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Keywords | 加齢黄斑変性 / 網膜色素上皮 / 酸化ストレス / CTGF / MMP |
Research Abstract |
低酸素-再酸素化およびパラコート添加という2種類の酸化ストレス負荷を培養網膜色素上皮細胞に負荷すると、CTGF及びMMP2の発現が上昇した。次に、強い血管新生作用をもつVEGFの発現が、網膜色素上皮細胞内で酸化ストレス負荷により影響されるか検討したところ、VEGFも酸化ストレス負荷にて発現上昇しており、これらの分子の相互作用により、脈絡膜新生血管が伸展する可能性が示唆された。 今年度は網膜への酸化ストレス負荷動物モデルの作成と、その動物を用いたin vivoでのCTGFの発現変化を検討した。網膜への酸化ストレス負荷は、ローズベンガルを尾静脈から投与し、後に強照明を与えてから暗室にもどす系を採用した。ローズベンガルの投与量は20mg/kgとし、負荷する光の照度と、暗室にもどしてから網膜切片を作成するまでの時間の検討を、酸化ストレスマーカーであるHO-1(hemeoxygenase-1)の発現変化をみながら行った。その結果、600ルクスの照度で、暗室飼育下30分でHO-1の発現上昇が有意に認められたことから、この系を採用した。この系を用いてICRマウスにストレスを負荷し、網脈絡膜を回収してRT-PCRを行ったところ、CTGFの発現上昇が確認された。免疫組織化学にてCTGF分子の網脈絡膜組織内での発現部位を確認したところ、網膜色素上皮細胞と脈絡膜血管内皮細胞に染色が認められた。CTGFは神経節細胞及び内網状層にも弱い発現を認めた。これらの部位の発現はストレスを加えていない眼球では認められなかったことから、酸化ストレスによるCTGFの誘導が網膜色素上皮細胞ならびに脈絡膜血管周囲で生じ、色素上皮の脆弱化や脈絡膜新生血管の誘導に関与することが示唆された。 さらに昨年度に報告した、脈絡膜新生血管抑制因子であるtriamcinolone acetonideとVEGF,CTGFの発現変化に及ぼす影響を踏まえて、臨床において血管新生黄斑症例にtriamcinolone acetonideを投与し、脈絡膜新生血管が抑制されるかどうか検討を行った。その結果、サイズの小さな脈絡膜新生血管に対してはトリアムシノロンは有効であったが、サイズの大きなもの、また日本人に多いとされているポリープ状脈絡膜血管症(PCV)例に対する効果は少なく、PCVは、新生血管と異なる性状を持つ可能性が示唆された。またCTGFの誘導によるよる結果と考えられる線維化を呈する症例もみられた。
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Research Products
(7 results)