2004 Fiscal Year Annual Research Report
先天上斜筋麻痺の患者におけるArix遺伝子の変異の検索
Project/Area Number |
15591858
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松尾 俊彦 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90211565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大月 洋 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70093672)
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Keywords | 先天上斜筋麻痺 / 遺伝子多型 / ARIX / PHOX2B / 斜視 / 上斜筋麻痺 / 疫学 / 有病率 |
Research Abstract |
背景および目的:ARIXおよびPHOX2B遺伝子は、ともに脳幹の滑車神経核に発現しており、滑車神経核および滑車神経の形成に関与しているホメオボックス遺伝子である。先天上斜筋麻痺では、筋腹の欠損や萎縮(低形成)がみられることより、発生途上、滑車神経と筋原基との相互作用がうまくゆかずに上斜筋の低形成をきたし麻痺を生じている可能性がある。この研究では、先天上斜筋麻痺の候補遺伝子として、この2遺伝子に着目し、その多型を調べた。 対象および方法:倫理委員会での審査の上、書面にて同意を得た31人の先天上斜筋麻痺患者の末梢血からゲノムDNAを分離し、ポリメラーゼ連鎖反応にて2遺伝子のエクソンを増幅した。対照として、正常人54人でも同様の過程を行った。 結果:ARIX遺伝子多型は、31人中11人にみられた。内訳は、5'非翻訳領域のG153Aが8人、T7C(同時にプロモータ領域のC-44Aを伴う)が1人、C76G(同時にプロモータ領域のC-9Aを伴う)が1人、プロモータ領域のT4Gが1人であった。対照とした54人の正常人では、その4人にG153Aがみられたのみであった。G153Aは、正常人と比べて先天上斜筋麻痺患者において有意に高率にみられた(P=0.0259)。多型の有無とMRI上での上斜筋腹萎縮とは関連がなかった。一方、PHOX2Bでは、上斜筋麻痺の1人にエクソン3のA1106Cが、5人にA1121Cがあり、これらの多型は正常人ではみられなかった。 結論;ARIXおよびPHOX2Bは、先天上斜筋麻痺の発症における遺伝的危険因子の可能性がある。
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Research Products
(4 results)