2005 Fiscal Year Annual Research Report
眼循環改善作用を持つ薬物の毛様動脈血管平滑筋に対する効果についての薬理学的研究
Project/Area Number |
15591872
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
吉冨 健志 秋田大学, 医学部, 教授 (60191623)
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Keywords | 緑内障 / 眼圧下降薬 / 眼循環 / 血管収縮 |
Research Abstract |
正常眼圧緑内障の治療として、眼圧下降以外の治療法の開発は重要であり、血流改善は有力な候補と考えられている。本研究の目的は既存の緑内障治療薬に存在するとされる血流作用を薬理学的に検証することにある。対象としたのは緑内障治療点眼薬として現在広く使用されるβ遮断薬とプロスタグランディン関連薬で、これらの薬剤は眼圧下降とは別に血流改善効果があることが報告されている。実験にはウサギおよびラット摘出眼動脈を用いて、in vitroで薬物の持つ血管作用を薬理学的に検討した。緑内障の治療薬として臨床応用されているβ遮断剤のうち、ベタキソロールはウサギ毛様動脈を濃度依存性に弛緩させたが、これはこの薬剤の持つカルシウム拮抗薬様の作用のためと考えられた。ニプラジロールは薬剤に含まれるニトロ基よりNOを放出するNO-Donorとして血管弛緩作用を有した。レボブノロールは細胞内貯蔵カルシウム放出を抑制することによって弛緩を起こすなど、血管弛緩作用とβ遮断作用が関係のないことが示唆された。プロスタグランディン関連薬のひとつであるウノプロストンの血管弛緩作用は細胞外のCa流入阻害によると考えられた。また、ウノプロストンよりも眼圧下降効果に優れるとされるラタノプロストも血管弛緩作用を有するが、結果はウノプロストンの方が強力であることも明らかとなった。今回の実験で明らかになったように、各種緑内障治療薬はそれぞれ血管弛緩作用を有しており、その作用機序は眼圧下降作用とは基本的に関係がなく、薬剤により様々である。そしてそれぞれの薬剤の持つ、眼圧下降作用とは異なる作用によって血流に影響を与えていることが実証された。正常眼圧緑内障の薬物治療において、このような従来知られていなかったような緑内障治療薬の作用の検証は、新しい薬物治療開発の基礎となるデータであり、既存の薬物治療選択に関しても重要な意義がある。
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Research Products
(6 results)