2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591879
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
島崎 潤 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (40170930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪田 一男 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40163878)
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Keywords | 羊膜 / HLA-G / 角結膜上皮 / 炎症 / IFN-γ / 免疫反応 |
Research Abstract |
【目的】羊膜をはじめとする胎盤組織に多く発現しているHLA-Gの機能は最近まで不明であったが、NK細胞の抑制レセプターとHLA-Gが結合してNK細胞の活性が低下すること、妊娠中はNK細胞表面にHLA-Gと結合する抑制レセプターがより多く発現していることが報告され、semi-allo組織である胎児が母体のNK細胞の攻撃を受けないように母体の拒絶反応から胎児を保護することが明らかとなってきた。また、心臓移植を受けた患者の生検組織や末梢血中にHLA-Gが発現している場合、移植生着が良好であることか報告されている。これらのことから羊膜と角膜移植または輪部移植とを組み合わせることで拒絶反応を抑制している可能性が考えられる。羊膜を基質とした培養角結膜上皮に対する免疫応答を明らかにするために、胎盤組織で発現しているHLA-Gの発現と羊膜の有無による発現の変化を調べた。 【方法】羊膜上に再生した角結膜上皮のHLA遺伝子発現の変化をマイクロアレイで調べた。また、HLA-G α1ドメイン特異的なprimerを用いて、角結膜上皮でのHLA-Gの発現をRT-PCR,発現量の変化をReal-time PCRを用いて調べるとともに、HLA-Gタンパクの発現を免疫染色で検討した。 【結果】マイクロアレイの結果によりHLA-G mRNAの発現が羊膜上に培養した結膜上皮において2・6倍増加していたが、他のHLA分子の発現は減少している傾向を認めた。角結膜上皮にはHLA-G mRNAが発現し、この発現はINF-γ刺激により増加した。Real-time PCRでも結膜上皮HLA-G mRNAの発現は羊膜上に培養すると約2倍増加していた。また、角膜上皮でのHLA-G発現量は羊膜の有無で差を認めなかったが、IFN-γ存在下では発現が2.7倍増加していた。免疫染色でも角膜上皮にHLA-Gの発現が確認され、IFN-gによりその発現は上昇していた。 【結論】羊膜は角結膜上皮におけるHLA-Gの発現を増加させることにより、術後の炎症や免疫反応の抑制に関与している可能性が考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shimazaki J, Kosaka K, Shimmura S, Tsubota K.: "Aminotic membrane transplantation with conjunctival autograft for recurrent pterygium."Ophthalmology. 110・1. 119-124 (2003)
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[Publications] 島崎 潤: "羊膜移植"日本の眼科. 74. 19-22 (2003)
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[Publications] 島崎 潤: "羊膜による角膜再生"眼の再生医学. 91. 20-24 (2003)