Research Abstract |
平成15年度は,研究計画に従って,研究を遂行し,これまでに以下の結果を得た. microsurgical techniqueを用いて,マウス小腸移植を行った. ドナー小腸は麻酔下に開腹後,大動脈より冷乳酸化リンゲル液にて潅流.空回腸を上腸間膜動脈と門脈本管を付けて摘出.レシピエントに吻合するまで,氷上の冷乳酸化リンゲル液にて保存.レシピエントを開腹後,グラフトの大動脈と門脈をレシピエントの大動脈と下大静脈に端側にて血管吻合.腸管はグラフト空腸側をストーマとして体外に固定し,回腸側はレシピエント空腸と端側吻合し,小腸移植を行った.これまでに,技術的にはほぼ完成.安定して,マウスは術後生存するようになった. 急性拒絶反応モデルとして,MHC完全不適合間(C57BL/6,H-2^bからBALB/c,H-2^d)の小腸移植を行い,術後7日目にマウスを犠牲死させ,移植臓器(小腸)を摘出し,HE染色による急性拒絶反応の判定を行った.その結果,著明な細胞浸潤,さらには組織構築の破壊を観察した.Real-time PCRの結果,VEGF,VEGF receptorの発現の上昇を認め,拒絶反応とVEGF及びその受容体の関与が示唆された. 上記の実験結果に基づいて,さらなるメカニズムの詳細を検討するとともに,来年度においては,抗flk-1モノクロナール抗体(DC101),抗flt-1モノクロナール抗体あるいは生理的血管新生阻害物質であるEndostatin (fragment of collagen XVIII)の投与を行い,それぞれの拒絶反応抑制効果を検討する.移植臓器に浸潤するCD4,CD8 T細胞,B細胞,DC細胞,マクロファージ,NK細胞等,各アロ免疫担当細胞に対する各々の治療効果を解明する.また,ケモカイン,接着因子等についてもその発現を検討する予定である.
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