2004 Fiscal Year Annual Research Report
急性サリン中毒における非コリン性中毒作用に関する研究
Project/Area Number |
15591920
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
長尾 正崇 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80227991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前野 善孝 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00145749)
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Keywords | サリン / ソマン / アストロサイト / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
ソマンの構造類似物質であるbis(pinacolyl methyl)phosphonate(BPMP)を培養ラットアストロサイトに曝露することによって生ずる形態変化と細胞内シグナル伝達系の変化に関して検討した。 胎生18日令のSDラットの胎児大脳皮質より細胞を酵素的に分散し、それを培養フラスコ内で培養し、混合グリア細胞培養を得た。この培養を激しく振盪してアストロサイト層上の混入細胞を減じて、アストロサイト主体の培養とし、これを二次培養した。アストロサイトにBPMPを曝露し約8時間経過すると、細胞質内に多数の空胞の出現が認められた。この時点でBPMPを洗浄除去すると空胞は残存したままそれ以上の変化は認められなかった。約24時間BPMPの曝露を続けると、広い細胞体を有する形質性アストロサイトから不正形な突起を持ったいわゆる線維性アストロサイトの様相を示すようになり、約48時間後にはより小さな細胞体に長い突起を有した形態の細胞が大部分となった。この時点でBPMPを除去すると約30分後には元の広い細胞体を有した形態へ回復した。またBPMPによる線維性アストロサイトへの形態変化は、蛋白合成阻害剤により阻害された。一方p44/42MAPキナーゼのリン酸化の状態を抗リン酸化抗体によるウェスタンブロットで検討したところ、刺激開始後約8〜24時間において持続的なリン酸化の亢進が認められた。この時MAPキナーゼをリン酸化し、活性化する酵素のひとつであるMEKのリン酸化もまた亢進していた。
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