2005 Fiscal Year Annual Research Report
急性サリン中毒における非コリン性中毒作用に関する研究
Project/Area Number |
15591920
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
長尾 正崇 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80227991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前野 善孝 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00145749)
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Keywords | sarin / soman / astrocyte / MAP kinase |
Research Abstract |
細胞死の原因となる化学物質は数多く存在し、それら細胞死に先立つさまざまな細胞の反応を種々の因子が誘導する。それら細胞反応が誘導されるメカニズムについて現在までその詳細については十分な検討がなされていない。本研究では、組織リン酸化因子の一つで、我々が作成したbis(pinacolylmethyl) phosphate (BPMP)のラット星状細胞に対する影響を検討し、特徴的な所見が得られた。空胞化変性において細胞質の空胞化は、組織学的な変化であり、細胞の放射状化(stellation)は、様々刺激に対する星状細胞の反応である。タンパク質合成阻害剤であるCycloheximideによる前処置により、放射状化は阻害されたが、空胞化は阻害されなかった。ミトコンドリアに選択的な染色による細胞染色は、空胞化はおそらく細胞の中心において膨化と空胞化したミトコンドリアにおいて生じていることを示した。興味深いことに、細胞外シグナル伝達キナーゼ(ERK)カスケード阻害薬は空胞化を阻害し、そしていくらか、放射状化をも阻害した。これらの結果はERKシグナル伝達カスケードはミトコンドリアの空胞化にとって重要であることを示唆している。我々のこれら星状細胞の反応の詳細な検討は、空胞変性のような細胞の形態学的な変化の意義と、さまざまな神経疾患の根底にあるメカニズムに関するあらたな展望を提供すると考えられた。
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