2004 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症における過大侵襲時の生体反応と重度外傷患者治療への応用の可能性について
Project/Area Number |
15591924
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
山本 透 関西医科大学, 医学部, 講師 (20240111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 重樹 関西医科大学, 医学部, 助手 (80351542)
中谷 壽男 関西医科大学, 医学部, 教授 (70188978)
木下 利彦 関西医科大学, 医学部, 教授 (20186290)
北澤 康秀 関西医科大学, 医学部, 助教授 (10140261)
中谷 健治 関西医科大学, 医学部, 助手 (50351531)
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Keywords | 総合失調症 / 侵襲 / 生体反応 / 外傷 / カテコラミン / サイトカイン |
Research Abstract |
現在、対象となる統合失調症重症外傷患者が入院された場合に患者さん、もしくは代諾者に説明し採血をおこない症例を集積しつつある。また、対照群としては基礎に精神疾患のない重症外傷患者の初療室への搬入時に採血を行い、同意を得た採血検体を用いてエピネフリン、ノルエピネフリンを液体クロマトグラフィーにて測定している。受傷以前から、もしくは受傷後の精神科医の診断にて統合失調症、あるいは境界型人格障害と診断された症例のうち、搬入時点において採血がなされていた検体が検査対象となるが未だ症例数は少なく、9例である。これらの受傷機転は墜落外傷、自傷症例が中心である。胸部、骨盤、四肢の骨折を伴う損傷、あるいは自傷による胸部、頸部刺傷症例が主たる損傷形態であった。搬入時のエピネフリンは0.32+/-0.12(Avg+/-SE)(ng/mL)であったが、これは別に報告した自験例での統合失調症患者の外傷受傷直後搬入時の平均値の約1.1ng/mLより低い値となっていた。なお、標準値(外傷のない患者)は0.12ng/mL以下とされている。また、ノルエピネフリンは0.69+/-0.10ng/mLであり、同じく自験例での受傷直後の平均値0.9ng/mLに比較して若干低いものの有意な差はみられていない。ノルエピネフリンの標準値は0.46ng/mL以下とされている。統合失調症患者は自損に伴う外傷のほかに、急性中毒にて搬入されることも多く、搬入時の統合失調症の中毒患者のエピネフリンは0.057+/-0.021ng/mL、ノルエピネフリンは0.761+/-0.216ng/mLであった。これらは別に報告した自験例の非統合失調症薬物中毒患者の搬入時の値と比較して差を認めていない。 まだ症例も少なくサイトカインに関しては統計処理を行う症例数に至っていない。当面の課題は症例数を確保できるか否かであり、今後も対象となる症例の検体確保に努め、エピネフリン、ノルエピネフリンに関しても統計処理を行う上で、損傷の重傷度に差が無くてもカテコラミンに差があるのか否かを検討してゆきたい。
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