2005 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症における過大侵襲時の生体反応と重度外傷患者治療への応用の可能性について
Project/Area Number |
15591924
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
山本 透 関西医科大学, 医学部, 講師 (20240111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 壽男 関西医科大学, 医学部, 教授 (70188978)
北澤 康秀 関西医科大学, 医学部, 助教授 (10140261)
村尾 佳則 関西医科大学, 医学部, 助教授 (50211602)
中谷 健治 関西医科大学, 医学部, 助手 (50351531)
木下 利彦 関西医科大学, 医学部, 教授 (20186290)
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Keywords | ストレス / 統合失調症 / カテコラミン / 侵襲 |
Research Abstract |
重度外傷患者では過剰な生体反応に伴う臓器障害、縫合不全、創感染などの合併症を来し、治療に難渋する。一方、統合失調症患者は、骨折や自傷による腹部刺創などの重度外傷を受傷しても苦痛を訴えることが少なく、経過が順調で上記のごとき合併症も少ない。私共は統合失調症患者では侵襲に対する過剰な生体反応が起きないのではないかと考え、予備研究にてエピネフリン、ノルエピネフリンの分泌量が少ない事実をつかんできた。そこで、a)重度外傷における統合失調症患者と、そうでない患者のストレスホルモン、炎症性、抗炎症性サイトカイン変動の差異。b)向精神薬とストレス反応の関係。c)統合失調症でない重度外傷患者の予後の改善を計るにはいかなる対応をすればいいか、などを明らかにしたいと考えてきた。患者の初療室への搬入時に採血を行い、同意を得た採血検体を用いエピネフリン、ノルエピネフリンを液体クロマトグラフィーにて測定を行ってきた。カテコラミンに加えて、サイトカインとしてはTNFα、IL-6をELISA法にて測定した。 重症の外傷患者では搬入時の血漿エピネフリンが1.7ng(基準値<0.2ng/ml)、ノルエピネフリン1.2ng/ml(基準値<0.4ng/ml)と、特にエピネフリンに高度の上昇を示したにもかかわらず、統合失調症患者では受傷直後のエピネフリンは0.32ng/mlノルエピネフリンは0.69ng/mlと低値であることが示された。統合失調症を基礎疾患に持たない外傷患者では、エピネフリン、ノルエピネフリンともに著しく増加し、臓器組織血流に影響すると考えられる。統合失調症患者においては重症の外傷後に於いてもエピネフリンが増加しないことが、臓器組織血流を大きく低下させることなく、予後良好な結果に繋がるのではないかと推測される。サイトカインのデータの解釈にはなお検討を要するため、とりまとめを行っている。
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