2005 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺腫瘍の発生・進展と特異な形態形成に関わる遺伝子,タンパクの変化に関する検討
Project/Area Number |
15591935
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小川 郁子 広島大学, 病院, 教授 (70136092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 隆 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10154783)
宮内 睦美 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (50169265)
工藤 保誠 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (50314753)
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Keywords | 唾液腺腫瘍 / 細胞分裂制御因子 / p53 / p27 / Skp2 / oncocytic metaplasia / periostin |
Research Abstract |
唾液腺腫瘍の病理診断や予後推測、治療法の選択等、臨床に応用できる基礎的データの蓄積を目的に、15,16年度に引き続き、タンパクならびに遺伝子発現の変化を臨床材料、培養細胞を用いて行い、以下の知見を得た。 1.上皮・筋上皮性の2相性分化を示す代表的な悪性唾液腺腫瘍である上皮-筋上皮(性)癌は、通常は細胞異型に乏しく、低〜中等度悪性であるが、内層細胞の細胞異型が増し、乳頭状増殖を示した症例について検討し、p53タンパクの異常蓄積が生じ、増殖活性が上昇した結果であることが明らかとなり、この過程が、より悪性度の高い脱分化型への移行と関連する可能性が示唆された。 2.口腔扁平上皮癌の浸潤・転移に関わる新しいタンパクとして我々が研究を進めているperiostinの発現と悪性度、転移との関連を各種唾液腺腫瘍についても検討した結果、良悪性とも発現が低く、periostinの発現と臨床態度とは関係していないことが示唆された。 3.唾液腺腫瘍の診断に当たってしばしば問題となるoncocytic metaplasiaについて、多形性腺腫、筋上皮腫、腺房細胞癌、上皮-筋上皮(性)癌の鑑別を目的に、種々の分化マーカーの発現を検討した結果、腫瘍性筋上皮では、S-100タンパク、vimentin等、筋上皮性マーカーの発現を維持し、一方、腺房細胞癌では、lactoferrin等の分泌上皮性マーカーの発現を示すことが明らかとなった。 4.腺様嚢胞癌の培養細胞株を用い、細胞周期制御因子であるp27の分解過剰による発現低下の機序を明らかにする目的で、p27のユビキチンリガーゼであるSkp2の発現について検討するため、Skp2の発現量を調節できる細胞株を作成しつつある。また、腫瘍を組織を用いても、p27とSkp2の発現の関係を検討し、p27の分解にSkp2の通知発現が関わる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)