2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591938
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
城戸 瑞穂 九州大学, 歯学研究院, 助教授 (60253457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 輝男 九州大学, 歯学研究院, 教授 (60077667)
山座 孝義 九州大学, 歯学研究院, 助手 (80304814)
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Keywords | カプサイシン / VR1 / 味覚 / 痛み / 神経 / 感覚 / 侵害受容 / ラット |
Research Abstract |
感覚器としての口腔組織に着目し、口腔粘膜において、唐辛子の主成分で脂溶性の刺激物質であるカプサイシンが、口腔内でどのように受容されているかを明らかにすることを目的として、カプサイシン受容体として単離されたVanilloid receptor 1(VR1)の口腔内での発現をmRNAレベルおよびタンパクレベルで検索している。 実験には6〜8週齢の雄性ラツトを用い、VR1特異的抗体を用いて免疫組織化学あるいは免疫細胞化学的に染色を施した。その結果、VR1陽性の神経線維が舌乳頭に密に認められた。神経ペプチドのcalcitonin gene-related peptideやsubstance Pとの二重染色によりVR1神経の一部がこれらのペプチドを含有していた。電子顕微鏡での観察で、これらの神経線維はAδ線維あるいはC線維であることから、侵害受容に関わる神経であることが示された。神経軸索に免疫反応産物がみとめられ、軸索膜、小胞に局在していた。さらに、舌背や口蓋の口腔粘膜上皮細胞にも陽性反応が認められた。免疫反応産物は細胞膜上や細胞膜に近接した小胞内に局在していた。 VR1陽性の神経が、舌味蕾周囲あるいは味蕾内を味孔へむかって進入していたことから、VR1陽性神経あるいは上皮細胞が口腔内の環境を感受するに適した位置にあることが明らかとなった。このことはVR1が口蓋や歯肉において局在していることからも支持された。さらに、この受容体が細胞膜上に発現していたことから、機能的な受容体として発現していることが考えられる。 カプサイシン特異的受容体VR1は侵害受容に関わっているとともに、唐辛子を食べた時にとひりひりと感じる、辛味に関与している可能性も示唆される。今後さらに、カプサイシン刺激によるシグナル伝達の変化についても検索していく予定である。
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