2004 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織における弾性系線維の形成ならびに消化・分解機構の解明
Project/Area Number |
15591942
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
矢嶋 俊彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (10018749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 一元 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (70223352)
敦賀 英知 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (30295901)
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Keywords | 弾性系線維 / エラスチン / フィブリリン / MAGP-2 / MMP-2 / TIMP-2 / 線維芽細胞 / 歯周組織 |
Research Abstract |
本研究は、同一歯に由来する歯根膜線維芽細胞と歯肉線維芽細胞の培養形系を用いて、トロポエラスチン、微細線維(fibrillin-1,fibrillin-2,MAGP-1,MAGP-2)の発現とその遺伝子発現、エラスチン沈着量を経時的に分子生物学的、免疫細胞組織化学的に解析すること。さらに組織におけるエラスチン消化・分解制御機構の解明を目的としている。 弾性系線維形成においては,トロポエラスチンの微細線維への沈着機構が必要とされている。微細線維構成成分であるフィブリリン-1,-2とトロポエラスチンの発現とそれらの遺伝子発現は歯肉線維芽細胞では認められた。また,歯肉ではエラスチン沈着したエラウニン線維と弾性線維が観察された。しかし,歯根膜線維芽細胞では,フィブリリン-1,-2の発現とそれらの遺伝子発現も低く,トロポエラスチン発現は認められなかった。さらに,歯根膜組織では,エラスチン非沈着の微細線維のみからなるオキシタラン線維が観察された。 次に,MAGP-1(微細線維結合性糖タンパク-1)とフィブリリン-2の遺伝子をRNA干渉法(siRNA)でノックダウンすると、トロポエラスチンの沈着が対照群の30%以下に抑制された。免疫組織化学的にも同様な抑制が観察された。少なくとも、MAGP-1とフィブリリン-2はトロポエラスチン沈着を直接あるいは間接的に制御していることを明らかにした。 さらに、組織中に存在するエラスチン消化能を有するMMP-2の機能を検討した。歯根膜線維芽細胞培養系にはプロMMP-2が存在しており、TIMP-2添加でMMP-2活性が抑制された。その結果、フィブリリン-2蓄積量が増加した。 これらの結果より,歯周組織の部位による弾性系線維形成機構の差異とエラスチン消化・分解制御機構が明らかとなってきた。そこで,これらの形成機構を基礎とした歯周組織の修復および再生・新生への応用を進めている。
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Research Products
(3 results)