2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591943
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
武田 正子 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40001953)
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Keywords | 味蕾 / 神経栄養因子 / NT3 / NT4 / TrkB / TrkC / 二重免疫染色 / 蛍光抗体法 |
Research Abstract |
近年増加している味覚障害者の治療法開発のために、味蕾細胞の増殖、分化、維持にかかわる栄養因子の解明を試みた。神経細胞に対して増殖や生存維持に働く神経栄養因子(neurotrophic factor)のうち、前年度はGDNF(glial cell-line derived neurotrophic factor)とそのレセプターであるGFRα1について味蕾細胞における発現を調べた。本年度は、同様の神経栄養因子群のうちのNT3(neurotrophin3),NT4(neurotrophin4)とそれらのレセプターのTrkC,およびTrkBについて味蕾細胞に発現するかどうか、4つの型に分類されている味蕾細胞のうちのどの細胞型に発現するか、特に神経と求心性シナプスを形成するIII型細胞に発現するかどうかを成熟ddYマウスを用いて調べた。 (1)NT3,NT4,TrkC, TrkBの抗体を用いて蛍光抗体法を行った。NT4は細長く伸びる味蕾細胞のうちの一部の胞体に発現した。一方、NT3は味蕾のほとんどの細胞に発現した。しかし、NT3のレセプターであるTrkCは味蕾には全く発現しなかった。NT4のレセプターのTrkBはほとんどの味蕾細胞に発現した。NT3はTrkBとも弱いながらも結合するので、NT3はTrkBを介して作用すると思われる。 (2)NT3,NT4,またはTrkBと、PGP9.5(protein gene product9.5),またはgustducinとの蛍光抗体法による二重免疫染色を行い、共焦点レーザー走査顕微鏡により観察した。PGP9.5はIII型細胞に、gustducinは一部のII型細胞に発現することが知られている。NT3免疫陽性細胞の一部は、PGP9.5,およびgustducinにそれぞれ免疫陽性であったことから、II型、およびIII型細胞を含むことがわかった。一方、NT4免疫陽性細胞は、PGP9.5にはすべて免疫陰性であったが、gustducinには免疫陽性の細胞と陰性の細胞があったことから、II型細胞と、おそらくI型の細胞が含まれるものと思われた。TrkB陽性細胞は、PGP9.5,およびgustducinにそれぞれ免疫陽性のII型、およびIII型細胞を含むことがわかった。 (3)このことから、味蕾細胞のNT3とNT4は隣接のIII型細胞膜のTrkBに結合し、シナプス伝達に関与するものと推測された。
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Research Products
(5 results)