2004 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜上皮組織幹細胞の解明とレチノイン酸による上皮再生能の制御
Project/Area Number |
15591944
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
畠山 節子 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (70048495)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八重柏 隆 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (50220116)
|
Keywords | 歯肉上皮 / 組織幹細胞 / NGFR / integrin 4 / レチノイン酸 / in vitro / 上皮の再生 / 接合上皮 |
Research Abstract |
生物の各組織に組織固有の形態と機能をもつ細胞を生み出す能力をもつ幹細胞(組織型幹細胞)が存在する。歯周組織とくに歯肉上皮の再生促進を目的として不死化歯肉上皮(GE1)細胞株を用いて幹細胞のマーカーを探る実験(I)とヒトの歯肉上皮組織を用いて幹細胞マーカーの候補分子を含む接着分子および細胞分裂能を持つ上皮細胞の解析実験(II)を行い、各々以下の結果を得た。実験(I):GE1細胞を単一細胞に分散させて播種後の数日間において、培養皿に付着した細胞の細胞性状を解析した。想定される組織幹細胞マーカーとしてp75NGFR, laminin, integrin β1, integrin β4, keratin 14, desmoglein 3, TERTを用いた。さらに播種後2〜3日間1.6μM BrdUを含む培地で培養後に固定しS期の細胞を検討した。播種後2日の結果では、付着細胞のほとんどはkeratin 14陽性(90.9%)で、laminin陽性細胞は84.2%、integrinβ1陽性細胞は76.9%、integrin β4陽性細胞は75.0%、TERT陽性細胞は57.9%、desmoglein 3は33.3%の割合でみられ、p75NGFR陽性細胞は11.1%と少なかった。keratin 14は3日目にほぼすべての付着細胞が陽性を示した。BrdU陽性細胞の割合は2日間の取り込みで33.3%、3日間で75.0%であった。播種後3日で3/4の細胞がDNA複製期に入ることがわかった。Laminin陽性細胞に囲まれてLaminin陰性細胞が一個存在する所見がしばしばみられた。組織幹細胞の割合は表皮基底細胞の10%という報告があり、これらの結果から口腔上皮組織幹細胞はケラチン陰性で、そしておそらくはp75NGFR陽性と推察された。実験(II):歯周外科的治療において得られた歯肉組織において、E-cadherinやdesmoglein 1&2,は歯肉溝上皮(SE)および口腔歯肉上皮(OGE)の細胞膜上に一致した明らかな発現がみられたが、接合上皮(JE)には発現がみられなかった。一方、desmoglein 3、integrin α6およびintegrinβ4はJE, SE, OGEおよびPEに発現していた。BrdU陽性細胞はJEには認められず、JEに隣接するSE部位に集中して認められた(J Oral Biosci, 2004)。
|
Research Products
(4 results)