2004 Fiscal Year Annual Research Report
唾液による歯牙硬組織石灰化度の恒常性維持に関する研究
Project/Area Number |
15591949
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
見明 康雄 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (00157421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 孝彰 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (10096513)
水口 清 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00133380)
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Keywords | 再石灰化 / 唾液 / う蝕 / エナメル質 / 歯根 / 象牙質 |
Research Abstract |
今年度の研究では、歯周疾患などで露出した歯根やう蝕象牙質におよぼす唾液の直接的な役割を明らかにするとともに、歯の耐酸性や再石灰化を強く促進する新たな食品添加物(F-Ca)の効果を検証することを目的とした。 材料はヒト抜去第3大臼歯で、患者本人の同意および東京歯科大学倫理委員会の承認を得て実験を行った。まず、エナメル質および象牙質の小ブロックを作製し、表層部分をpH4.0と5.0で脱灰した後、再石灰化液あるいは唾液に浸漬した。またF-Caを加えた溶液による実験も行った。次に、研磨切片を作製してCMRで観察し、EPMAでCa, P, Fの分析を行った。その後、超薄切片を作製し、HR-TEMで結晶構造を観察した。観察は下記の3種類の試料に対して行った。 1.歯根象牙質をpHの異なる脱灰液で脱灰し、唾液ないし再石灰化液に浸漬した試料 pH4.0で脱灰し、再石灰化処理すると、最表層に再石灰化層がみられたが、それ以外ではほとんどみられなかった。またpH5.0で脱灰し、再石灰化処理すると、逆に最表層の再石灰化はみられず、深層から再石灰化が起こっていた。この理由として、象牙質コラーゲン線維の変性状態が脱灰pHにより異なるためと思われるが、詳細は不明である。 2.脱灰歯根象牙質をF-Caを添加した再石灰化液あるいは唾液に浸漬した試料 pH5.0の脱灰試料をF-Caを添加した再石灰化液に浸漬すると、高度の再石灰化を起こした。これはCa, Pが増量し、Fの作用が加わってミネラルの沈着量が増えたためと思われた。また、F-CaではF単独とは異なった再石灰化像を示すことから、F以外のものの作用が強いことが考えられた。唾液にF-Caを添加した場合も同様の再石灰化像を示したが、唾液単独のものより再石灰化度が低い場合もみられた。この理由は現在検討中である。
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Research Products
(2 results)