2005 Fiscal Year Annual Research Report
唾液による歯牙硬組織石灰化度の恒常性維持に関する研究
Project/Area Number |
15591949
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
見明 康雄 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (00157421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 孝彰 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (10096513)
水口 清 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00133380)
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Keywords | 再石灰化 / 唾液 / 齲蝕 / 象牙質 / 歯根 |
Research Abstract |
今年度は、齲蝕で脱灰された象牙質におよぼす唾液あるいは再石灰化液の影響を結晶学的に明らかにすると共に、齲蝕予防の目的で、歯根象牙質表面の脱灰抵抗性を増加させる食品添加物(F-Ca-CO)の効果を検索した。 材料はヒトの完全埋伏第3大臼歯象牙質である。表層部分を人為的に脱灰し、脱灰面を再石灰化液、ないし耳下腺唾液あるいは双方にF-Ca-COを添加した溶液に浸漬した。また未脱灰象牙質をF-Ca-COを添加あるいは無添加の再石灰化液に浸漬した後、脱灰液に浸漬して脱灰抵抗性試験用の試料とした。試料は樹脂に包埋し、研磨切片を作製してコンタクトマイクロラジオグラム(CMR)を撮影した。その後、研磨切片から超薄切片を作製し、高分解能透過電子顕微鏡(HR-TEM)で結晶構造を観察した。脱灰抵抗性試験のために作製した試料は、走査電子顕微鏡(SEM)で表面の構造を観察した。 唾液による再石灰化像は表層に再石灰化層が形成され、全体の石灰化度も上昇していることより一見優れたもののように見えた。しかし、HR-TEMで示された表層の密な結晶の沈着は、深層へのミネラルの浸潤を阻害する可能性がある。一方、唾液にF-Ca-CO添加したものでは表層の再石灰化みられず深層から再石灰化が起こっていたことより、長期にわたり再石灰化が増進する可能性が高いと思われた。再石灰化液による再石灰化像は、深層から僅かな再石灰化しかみられなかったが、F-Ca-COを添加すると高度の再石灰化が発現した。象牙質の脱灰抵抗性は、再石灰化液に浸漬することにより増加していたが、F-Ca-COを添加したものの方がより高度であった。これは再石灰化液中のCaとFの作用によりミネラルの沈着量が増え、結晶性の改善が起こったものと思われる。従って、F-Ca-COの添加は脱灰抵抗性の増加に有効であると考えられる。
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