2004 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロCTによる硬組織微細構造の非破壊的無機塩量定量法の確立
Project/Area Number |
15591955
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
川崎 堅三 鶴見大学, 歯学部, 教授 (50064374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下田 信治 鶴見大学, 歯学部, 講師 (30139620)
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Keywords | マイクロCT / 骨密度 / BMD / X線スペクトル / 散乱線 / ビームハードニング効果 |
Research Abstract |
当該年度は平成15年度の実験結果より、CT画像上の線吸収係数の測定値から直接骨密度を求めることは大きな誤差を生じることが明らかとなった。そのため、これらの誤差の混入を極力抑えるための計測法の工夫と適切な補正法が必要であり、これらを解決する具体策として(1)X線成分を除去しビームハードニングの影響を軽減するX線条件の選択とX線フィルターを使用して測定をおこなった。また、(2)ビームハードニング効果抑制目的に高い吸収係数の材質でできた専用の容器内に試料を入れて計測をおこなった。その結果、専用容器は円柱状、かつ厚さ200μm前後のアルミニウム製容器が適切であることが判明した。また、試料によっては、さらにビームハードニングを抑制する目的で、AlおよびCuの薄板をX線フィルターとして使用することが望ましい場合もあることが判明した。具体的な測定方法としては、被写体を標準物質(濃度差のあるHA-C標準試料4種類)とともに撮影し、検量線を描き、その検量線から被写体の無機質含量を計測することとした。標準試料はハイドロキシアパタイトと炭素を用いて作製した。これらの材料を既知の割合で混合し、金型に入れ真空下で加圧成型した。加圧成型により得られる標準試料は、試料容器の径に合わせてφ0.9mmとし、特注の金型(特殊鋼)で行った。以上のようにして完成した標準試料はアルミニウム製試料容器の内壁に円柱形の標準試料が円柱の長軸と平行となるようCT値が水(1H.U.)に最も近い接着剤で固定した。その後、マイクロCTによる無機塩量の試験測定と分析精度の確認を行った。現況では、本研究プロジェクトの目指す無機塩量測定冶具の完成を見ることができたが、分析精度および一部の試料(例えば歯のエナメル質の鋭利な辺縁)においてなお、ビームハードニングの影響により誤差が大きくなる傾向も認められたので、引き続き実験動物の骨や歯の無機塩量の定量を計測し、計測条件での補正データを取得するための構成データの計測の必要性があると考えられた。
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