2004 Fiscal Year Annual Research Report
凍結保存歯胚の自家移植に骨髄移入を併用した歯の再生
Project/Area Number |
15591960
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
谷口 邦久 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (90105685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 和彦 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (00224056)
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Keywords | 歯胚再生 / 凍結保存 / 移植 / 糖鎖 / レクチン染色 / 骨髄移入 |
Research Abstract |
歯の移植に関して、硬組織形成開始期の幼若歯胚の段階での移植は、動物実験で腎臓皮膜内や背部皮下に移植した基礎的研究がわずかにみられるものの、本格的な歯槽内への移植に関する研究は乏しい。そこで、先ず移植前に凍結保存が歯胚を構成する各種細胞に影響があるか否かを、光顕的に細胞形態の変化および各種細胞に特異的に存在する糖鎖に着目してレクチン酵素組織化学的に検索した。またことに細胞間に多く含まれる複合多糖についても複合多糖染色にて比較検索した。 ラット生後5日齢の上顎第一臼歯歯胚を凍結保存し、1週後に解凍してエナメル芽細胞、中間層細胞、エナメル髄の星状細胞、象牙芽細胞、歯髄細胞、血管内皮細胞などの組織所見や各種糖鎖、複合多糖の発現について非凍結歯胚と比較検索した。その結果、ほとんどの細胞や細胞間隙で組織所見、レクチン染色の発現および複合多糖染色性などに明らかな差異はみられず、歯胚の凍結保存により各種細胞には大きな影響を及ぼさないことが示唆された。 そこで、5日齢同腹幼仔ラットの半数の歯胚を凍結保存し、生後13日齢の同腹ラットの歯槽骨内に凍結保存歯胚を移植し、歯胚の硬組織形成能について、術後1週および2週を組織学的に検索した。さらに各種細胞の糖鎖や複合多糖類の染色態度についても、非凍結歯胚を同系移植した群と比較検索した。 その結果、術後1週では所々に新たな象牙質の形成がみられ、術後2週には象牙質の厚みが増していた。また、歯髄細胞や象牙芽細胞での糖鎖発現や局在はとくに差異はみられず、複合多糖類でも明らかな差異はなかった。このことから凍結歯胚の象牙質形成能は保持されていることが窺われた。しかし、歯胚の歯冠エナメル質側からの吸収や骨性癒着が生じており、歯胚の外傷で生じる変化もみられた。この防止処置は今後の問題である。歯胚移植と同時に頚骨より採取した骨髄を移入した場合は、非骨髄移入例より象牙質がやや厚く形成されていたが、移入した骨髄組織の確認やその影響との関連を明瞭に把握できなかったことは今後の課題として残った。
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