2003 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロマシン電極を用いた味神経線維にみられる味応答特性の時間依存性変動の研究
Project/Area Number |
15591979
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
島谷 祐一 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20154263)
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Keywords | 味覚 / 鼓索神経 / 神経再生 / 慢性記録 / マイクロマシン / Sieve電極 |
Research Abstract |
味覚神経における情報コーディングのダイナミクスを研究する目的で、マイクロマシン工学で作成したSieve電極をラットの鼓索神経に埋め込み、味覚神経線維からの長期記録を試みた。 研究はまず、ミシガン大学からすでに提供済みのSieve電極を用いて慢性実験を行なった。その結果、味応答の時間的変化を示すデータを数例記録することができた。 当研究の成否は電極の性能に寄るところが大きい。従来のSieve電極は埋め込み例数に対して記録成功例が約20%と低かった。電極を埋め込んだ神経組織を埋め込み手術約3ヶ月後、神経が十分に再生した後に電極先端ごと切除して光学顕微鏡観察で検討した結果、電極記録部位表面のコーティング金属(金)が剥離する問題があることが判明した。そこで実験計画に基づいて2003年にミシガン大学にて歯学部(R.M.Bradley)、工学部(K.Najafi)の研究室と共同で電極の新しいデザインを開発し、性能の改良を行った。改良点は、12チャネル型の電極デザインを見直して記録孔の間隔を若干広くしたことと、電極の製造過程を見直して、電極表面のコーティング強度を増したことである。これらの電極はすでに製造済みで、順次ラットの鼓索神経への埋め込みを行っている。埋め込み手術後神経が再生して味応答記録が可能になるまでは2ヶ月程度かかるため、まだ記録例は数例である。そのため改良した電極の性能を評価するには例数がまだ足りないが、今後実験を重ねることによって改良の効果が明らかになるものと期待される。味応答特性のダイナミクスについては、記録例のほとんどで応答特性の変動が見られた。今のところ従来の味神経線維の機能的分類をまたいで移行するといった例は得られていない。しかし前述のようにまだ記録例数が少なく、最終的結論を出すには至っていない。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yuichi Shimatani, Stefan A.Nikies, Khalil Najafi, Robert M.Bradley: "Long-term recordings from afferent taste fibers"Physiology & Behavior. 80. 309-315 (2003)