2003 Fiscal Year Annual Research Report
ウマ歯冠セメント質を用いたセメント質特異的タンパク質の同定
Project/Area Number |
15591983
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
深沢 加与子 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 助教授 (60064698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 利英 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 助手 (90329475)
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
佐原 紀行 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 助教授 (70064699)
小澤 英浩 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (60018413)
奥村 茂樹 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (80350825)
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Keywords | セメント質 / 特異的タンパク質 / EDTA抽出 / ウマ歯冠 / 二次元電気泳動 / 免疫反応 |
Research Abstract |
目的:我々は、ウマの歯冠ではセメント質がエナメル質を覆う形で形成され、歯冠全体の70%を占めることを報告した。一方、骨、エナメル質ならびに象牙質には特有のタンパク質が存在することが示されている、そこでセメント質にも特異的タンパク質が存在するものと考え本研究を始めた。 方法:ウマ顎骨ならびにウマ臼歯歯冠を材料とし、付着軟組織を取り除き骨はそのまま、歯冠はセメント質をくり貫き細紛とする。各種のプロテアーゼインヒビターを加えたトリス酢酸緩衝液(pH7.4)=A bufferで一夜、4Mグアニジン/A bufferで一夜を2回攪拌抽出後、0.5M EDTA/A bufferで抽出した。透析、濃縮処理後、EDTA画分とした。 結果:1.両組織とも乾燥重量に対し約0.5%のタンパク質がEDTAで可溶化した。 2.骨EDTA画分の抗体でIgG-Sepharoseを作製した。骨EDTA画分の約90%が不溶性抗体に結合したのに対し、セメント質EDTA画分はまったく結合しなかった。この結果からセメント質EDTA画分は骨と免疫学的に異なることが明らかになった。 3.セメント質のEDTA画分の二次元電気泳動(IPG,SDS-PAGE)では、pI3〜5の領域に5〜10の銀染色陽性のスポットが形成され、骨EDTA画分の結果と類似していた。 4.Hydroxyapatiteクロマトでは,10mMリン酸,pH6.8で骨EDTA画分は100%吸着するのに対して、セメント質EDTA画分は未吸着物質が存在した。未吸着、50mM溶出フラクションのSDS-PAGE、CBB染色の結果、骨とセメント質の50mM溶出フラクションは、類似したタンパク質バンドを示した。一方セメント質の未吸着フラクションには主に3つのタンハクバンドを同定した。 考察:組織学的に同定されているように、セメント質タンパク質は骨と非常に類似していることが生化学的分析の結果からも示された。しかし免疫学的な相違が示され、またHydroxyapatiteクロマトグラッフィーでも骨とは異なるタンパク質の存在が示された。今後これらのタンパク質の分析、同定を試みる。
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