2003 Fiscal Year Annual Research Report
食物の有する物理的・化学的性状に基づく摂食行動制御機構の行動学的・神経科学的解明
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15591984
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
硲 哲崇 朝日大学, 歯学部, 助教授 (90243154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝川 秀夫 朝日大学, 歯学部, 助手 (00076051)
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Keywords | 食物嫌悪条件づけ / 食物の硬さ / 摂取溶液温度 / 条件刺激 / ラット |
Research Abstract |
動物に対して、食物の化学的性状(動物は味覚として感受する)を条件刺激、その後の内臓不快感を追提示すると、いわゆる味覚嫌悪学習を獲得させることが知られている。しかしながら、本来、動物が摂取しているのは単純な味溶液ではなく、温度や硬さといった物理的な性状も兼ね備えた複合刺激物である。本研究においては、従来の研究では無視されてきた食物の物理的性状にスポットをあて、これら物理的性状を条件刺激とした場合にも、味覚と同様の嫌悪条件づけを獲得させることができるか否かを検討した。 第1の実験として、食物の硬さを条件刺激とした嫌悪条件づけが可能か否かを検討した。成分が同じで、硬さのみが異なる特注飼料を摂食させたラットの腹腔内に、無条件刺激として体重の2%量の塩化リチウムを投与したところ、動物は、この硬さの飼料に対する嫌悪条件づけを獲得した。 第2の実験として、飲料水の温度に対する条件づけが可能か否かを検討した。5℃または40℃の蒸留水を摂取させたラットの腹腔内に同様に塩化リチウムを投与したところ、やはり、当該温度の蒸留水に対してのみ嫌悪条件づけを獲得させることができた。 以上の結果から、動物には、食物中の化学的刺激だけではなく、物理的な刺激に対しても嫌悪条件づけ獲得能が存在することが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Watanabe U 他7名: "A comparison of voluntary salt-intake behavior in Nax-gene deficient and wild-type mice with refernce to peripheral taste inputs."Brain Research. 967・1-2. 247-256 (2003)
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[Publications] Sako N, Tokita K, Sugimura T, Yamamoto T: "Synergistic responses of the chorda tympani to mixtures of umami and sweet substances in rats."Chemical Senses. 28・3. 261-265 (2003)
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[Publications] 硲 哲崇, 杉村忠敬, 山本隆: "食物の選択行動はいかに制御されているか?"日本咀嚼学会雑誌. 12・2. 67-73 (2003)
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[Publications] 硲 哲崇, 渡辺宇乃, 山本隆, 勝川秀夫, 江口公人, 杉村忠敬: "代謝型グルタミン酸受容体mGluR1アンタゴニスト混入うま味溶液に対するラットおよびマウスの鼓索神経応答"日本味と匂学会誌. 10・3. 629-632 (2003)
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[Publications] 勝川秀夫, 中島清人, 只野正朗, 硲哲崇, ニノ宮裕三, 杉村忠敬: "飼料中苦味物質による唾液シスタチンの誘導"日本味と匂学会誌. 10・3. 765-768 (2003)