2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591985
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
勝川 秀夫 朝日大学, 歯学部, 助手 (00076051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
硲 哲崇 朝日大学, 歯学部, 助教授 (90243154)
中島 清人 朝日大学, 歯学部, 助教授 (30102122)
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Keywords | ラット / 顎下腺除去 / リジン欠乏 / 生理活性物質 |
Research Abstract |
唾液腺や唾液は食物摂取を容易にするというグロスな栄養へ関与するだけでなく、栄養成分の吸収効率や血中濃度に影響する因子を含んでいる。本研究において、著者らは正常飼料で飼育した幼若ラットの顎下腺および舌下腺を除去すると、リジン欠乏飼料で飼育された動物と同様にリジン溶液を嗜好するようになることを見出した(健康な動物ではリジン溶液嗜好性が低い)。リジン欠乏食群のリジンに対する嗜好の増加は欠乏状態から回復しようとする動物の食行動調節機構の現れと考えられている。しかし、正常食を摂取しているにも拘らず唾液腺切除群はリジン欠乏食群と同様にリジンを嗜好し、アルギニンを忌避した(健康な動物ではアルギニンを嗜好する)。このことは顎・舌下腺の切除がリジン欠乏状態もしくは臨界的なリジン欠乏状態をもたらしている可能性がある。そこで、血清アミノ酸濃度を測定してみると、唾液腺切除群のリジン濃度は唾液腺無処置群より低く、リジン欠乏群のそれらに相当していた。このリジン濃度の低下はpair-feedingや食物の胃内投与実験から唾液腺切除群の摂食量の低下や、消化管の吸収機能の低下によるものでないことがわかった。また、アフィニティー・クロマトグラフィーから、顎下腺唾液にはリジン結合タンパクの存在が明らかとなった。そこで、我々は唾液腺切除動物ではこれらのタンパクの欠損によりリジンの利用性が低下して、リジン欠乏もしくは境界型リジン欠乏状態に陥ったのではないかと考えた。しかし、その後、顎・舌下腺の導管部結紮は血中リジン濃度を低下させることがないことや、耳下腺除去や耳下腺導管結紮も血中リジン濃度への影響しないことが飼養実験から明らかになった。従って、顎下腺・舌下腺から特異的に放出される未知の内分泌物質の欠除が血中リジン濃度の低下に関与する可能性がある。現在、アミノ酸栄養に影響する唾液腺由来の物質について検索中である。
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Research Products
(4 results)