2005 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞の骨吸収機能に必須なC1-チャネルの同定と機能解析
Project/Area Number |
15591988
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
岡本 富士雄 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60153938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 幸司 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80224046)
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Keywords | 骨吸収 / 破骨細胞 / Cl^-チャネル / ClC-3ノックアウト / 酸性オルガネラ |
Research Abstract |
平成15-16年度において、破骨細胞に発現するClC-3 Cl^-チャネル(ClC-3)を発現抑制すると、オルガネラ内部の酸性化が抑制され、骨吸収活性も低下することが明らかになった。この結果より、破骨細胞に発現するClC-3は細胞内イオンチャネルとして酸性オルガネラの形成に関与している可能性が示唆された。本年度は、この可能性を検証するため、破骨細胞に発現するClC-3の発現部位について調べると共に、ClC-3ノックアウト(ClC-3KO)マウスとwild type(WT)マウス由来の破骨細胞から誘導した破骨細胞のCl^-チャネル活性、オルガネラ酸性化および骨吸収活性を比較した。 象牙切片上で吸収窩を形成している破骨細胞の凍結矢状断面標本を用いて、ClC-3の発現部位を免疫組織化学的に視覚化した結果、ClC-3が細胞内に発現していることを確認した。しかし、細胞膜にClC-3が発現しているか否かは明確には分からなかった。そこでClC-3KOマウスとWTマウスから誘導した破骨細胞からCl^-電流を誘導してCl^-チャネル活性を比較した。その結果、両者のCl^-チャネル活性に有意な差は認められず、ClC-3が細胞膜のイオンチャネルとしてCl^-輸送に関与している割合は低いことが明らかになった。一方、オルガネラ内部の酸性化はClC-3KOマウス由来破骨細胞の方がWTマウス由来破骨細胞に比べて弱かった。また、骨吸収活性もClC-3KOマウス由来破骨細胞の方が低く、オルガネラの酸性化と骨吸収活性との間に相関性が認められたた。この結果は、前年度のsiRNAによるClC-3発現抑制の結果と一致した。 以上の結果より、破骨細胞に発現するClC-3はオルガネラ膜のCl^-チャネルとして、骨吸収に必要と考えられるエンドゾームやリソゾームなどの酸性化に寄与し、破骨細胞の骨吸収機能を支えていることが明らかになった。
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